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栄養コラム

ローストビーフ

No.156

2016年12月1日

管理栄養士 田原 佳奈

12月といえばクリスマス。クリスマスにローストビーフを食べるご家庭も多いのではないでしょうか。ローストビーフは世界中で食べられ、パーティー料理としても定番メニューですが、最近ではヘルシー志向から肉を避ける傾向もあるようです。しかし、肉にもたくさんの良さがありますので、この機会にローストビーフの良さから肉の良さも再認識していただけたらと思います。

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ローストビーフ

ローストビーフはイギリスで、「Sunday Roast」として塊肉をオーブンで焼いた料理を日曜日に食べる習慣があります。ローストビーフにはグレービーソースやホースラディッシュという西洋わさびのソースと、ジャガイモやカブなどの野菜を付け合わせとして一緒に食べられています。また、ヨークシャープディングという小麦粉生地を焼いたお麩のような料理も付け合わせによく食べられており、お皿にでるソースや肉汁も残さず食べられるようになっています。


ローストビーフで使われる部位

牛肉にはいろいろな部位があり、部位ごとに特徴や適したメニューがあります。
中でもローストビーフに使用する部位をご紹介します。%e8%82%89%e9%83%a8%e4%bd%8d

○肩ロース・・・筋があるのでやや硬めですが、適度に脂肪を含み、風味が良い部位です。
○リブロース・・・霜降りになりやすい部位で、肉のきめがこまかく柔らかいため、最高部位とも言われ、とても風味が良いです。
○ヒレ・・・柔らかいですが火を入れすぎると硬くなります。脂肪が少なくやや味は淡白です。
○モモ・・・赤みが多いので味が濃く、比較的手ごろな価格です。


ローストビーフの良さ

ローストビーフのおすすめしたい特徴をご紹介します。

【その1】日持ちする
ローストビーフは肉の周りを焼くことで細菌の繁殖を防ぎ、中も蒸し焼きになっている状態ですので、日持ちします。パーティーなどの準備が忙しいときには作り置きもでき、当日は切り分けるだけにしておくと便利です。また、余ったら翌日サラダやサンドイッチなどに使えます。

【その2】冷えても美味しい
牛肉の脂は体温で溶けないため、冷めた料理を食べると舌に脂が残りやすく、美味しさが減少しますが、ローストビーフに使用される肉は比較的脂が少なく、赤身肉の旨味を味わうことができます。また、ローストビーフの中心部は55~65℃くらいの低温で蒸し焼きされているため、肉の繊維が硬くならずに柔らかくなっており、冷めても硬くなりにくく美味しさを保つことができます。

【その3】低脂質%e3%82%af%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%82%b9
ローストビーフは比較的赤身の多い肉を使用するため、脂質を控えたい方へもおすすめです。カルビなどのバラ肉とモモ肉を比べると脂質は1/3に抑えられます。他のクリスマスメニューやケーキ、デザートなどで脂質が多くなりがちで体重が増えたり、胃がもたれたりしやすいのでメイン料理をローストビーフにして少しでも影響を減らしてみましょう。

<食品100g中>

 エネルギー(kcal)脂質(g)たんぱく質(g)
牛バラ肉42639.412.8
牛モモ肉20913.319.5

日本食品標準成分表2015

【その4】低塩分
肉に軽く塩・コショウで下味をつけて焼き、ソースなどの味付けは後からかけられ、肉自体はしっかり味付けされていないので低塩分になります。ソースは自分で塩分量の調整ができます。また、シンプルな塩味だけなので活用レシピも多く、ソースを中華や和風にしたり、サラダや和え物に加えたり、料理のバリエーションも広がります。


牛肉のおいしさの秘密

○熟成による旨味%e8%82%89
牛肉はと畜後に死後硬直して硬くなりますが、低温貯蔵することで保水性が増して柔らかくなり、肉に残っている酵素により味や香りが付与される熟成期間を経て、美味しくなります。この熟成中にイノシン酸とグルタミン酸という旨味成分が生成され、この2つの旨味による相乗効果によるにものです。基本的に牛肉は約2週間熟成させて旨味を高めた状態で出回ります。最近では、肉の酵素を活用してさらに熟成させて、牛肉の香りや旨味を高めた熟成肉が人気となっています。


おすすめレシピ

本格的なローストビーフは手間がかかるイメージですが、肉を焼いてソースをかけた簡単な料理です。家庭でも手軽に楽しめるようにフライパンとアルミホイルで蒸し焼きにし、和風ソースでさっぱりと食べられるローストビーフです。

●和風ローストビーフ

【材料】(4人分)

<ビーフ>
・牛肉(ローストビーフ用)・・・400g
・塩・・・小さじ1/2(3g)
・コショウ・・・小さじ1/4(0.5g)

<調味液>%e3%83%ac%e3%82%b7%e3%83%94
・玉ねぎ・・・1個
・にんにく・・・3かけ(約15g)
・しょうが・・・15g(にんにくと同量)
・醤油・・・1/4Cup(50㏄)
・酒・・・1/4Cup(50㏄)
・酢・・・大さじ2杯
・みりん…大さじ1杯

【下準備】
1.玉ねぎは縦半分に切って繊維を切るように垂直に2mm幅にスライスします。
2.にんにくとしょうがは薄くスライスします。
3.玉ねぎ、にんにく、しょうがを調味料と合わせ1日置き、調味液をつくります。

【作り方】
1.牛肉を調理1時間前に常温に置いておきます。
2.フォークで牛肉に穴をあけ、全体に塩・コショウをふります。
3.フライパンで牛肉の各表面を中火で焼き目がつくまで焼きます。
4.弱火で蓋をし、焦げ目がつかないように10分くらい蒸し焼きをします。
5.フライパンから牛肉を取り出し、アルミホイルで包んで30分程置きます。
6.アルミホイルを外して、調味液に2~3時間漬け込みます。
7.調味液から取り出し、適当な厚さにスライスして、調味液をお好みでかけて完成です。

※脂質の気にならない方はアルミホイルで包む前に牛脂を牛肉の表面に塗るとジューシーさが増します。
※一緒に漬け込んだ玉ねぎ、にんにく、しょうがも召し上がることができます。
※酸味の強いほうがお好みの場合は酢の分量を増やしてください。

【アレンジ】
残った調味液はチャーハンなどの味付けに使えます。