本格的に寒くなり、一年の疲れも出やすい時期になりました。
寒さや疲れに負けないようスタミナをつけられる、おすすめの食材「ニラ」をご紹介します。
ニラについて
ニラはハウス栽培と露地栽培で周年安定して出回りますが、旬は冬~春で、1月~5月が比較的多く販売されます。ニラの歴史は古く、3000年ほど前から中国や東アジアで薬用植物として栽培され、日本に伝わったのは9~10世紀ごろといわれています。日本でも初めは薬用の食材として使われ、栽培が本格化したのは終戦以降、食の多様化により食卓に出る頻度が増えました。
ニラの種類
ニラは大きく分けて3種類あり、それぞれ特徴も異なります。
葉ニラ
一般的に流通しているもののほとんどが葉ニラで、鮮やかな緑色が特徴です。この緑の部分にβカロテンが多く含まれ、100gあたりのβカロテンが3500μgとニラの種類の中では含有量が一番多くなっています。
黄ニラ
品種名ではなく、黒いビニールなどで太陽の光を遮断した状態で栽培したニラのことを指します。クリーム色~パステルイエローの見た目で別名ニラモヤシとも呼ばれています。
栽培が難しく、手間がかかるため市場にはあまり出回りません。
黄ニラの栽培は岡山県が発祥といわれ、岡山県の特産でもあり、黄ニラのおひたしは郷土料理になっています。黄ニラは繊維が発達しないために食感がやわらかく香りもマイルドです。
花ニラ
花が開く前の若い花茎とつぼみを食べる品種で、葉ニラよりも香りが控えめで甘味があり、歯触りが良いのが特徴です。園芸用の品種にも「ハナニラ」がありますが、野菜の花ニラとは別の植物で毒をもつため、誤って口にしないよう注意が必要です。
栄養的特長
ニラの茎にはアリシンが、葉にはβ-カロテンが多く含まれます。ニラは泥汚れも少なく茎まで食べられ、虫食いなどの廃棄する部分が少ないため、無駄なく栄養がとれます。
アリシン
にんにくやねぎなどにも含まれる香気成分をいいます。糖質をエネルギーに替える際に必要なビタミンB1の吸収率をアップさせ、糖質の分解サポートだけでなく、疲労回復効果もアップします。また、血行を良くして体温を高めたり、消化液の分泌を促進し胃腸の働きも助けるため、気温が下がる時期や、食事量が多くなりやすい年末やお正月の時期などに取り入れたい栄養素です。
また、刻んだり潰したりすることでアリシンが増え、上記のような効果がより期待できます。茎の部分は細かく刻んで料理に取り入れるなどで栄養素を効率よく取り入れていきましょう。
β-カロテン
ニラには体内の活性酸素を減らす抗酸化作用があるβ-カロテンが豊富に含まれています。
過剰な活性酸素は心血管疾患などの生活習慣病など様々な疾患をもたらす要因となります。
β-カロテンはニラを含め、ほうれん草や人参などの「緑黄色野菜」に多く含まれ、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を丈夫にして風邪などの予防にもつながります。必要な分だけ変換されるため過剰摂取の心配がないのも特徴です。
また、β-カロテンは油とあわせて加熱することで吸収しやすくなるため、炒め物などに取り入れるのがおすすめです。例えば炒め物などで使う頻度の多い同じ緑色の野菜「ピーマン」「チンゲン菜」と比べると、ピーマンの約9倍、チンゲン菜の約1.5倍のβ-カロテンが含まれています。使う野菜の種類によって摂れる栄養素も変わっていくので、ぜひ参考にしてみてください。
葉酸
葉酸は赤血球など身体の細胞が作られるときに必須の栄養素で、不足すると貧血など体の不調に繋がります。また、胎児の正常な生育に欠かせない栄養素でもあるため、女性は妊娠前から十分に摂取することが大切です。最近の研究では葉酸が動脈硬化の危険因子を軽減したり、血中のコレステロール値を低下させる可能性があり、虚血性心疾患の予防効果が期待されています。
葉酸はブロッコリーやほうれん草などの緑色の野菜に比較的多く含まれ、一般成人の葉酸の1日あたりの必要量200㎍に対し、ニラには1束100gあたりに100μg含まれています。前述同様にピーマン2個、チンゲン菜1株と比べると、ニラは約1.5~3倍の葉酸が含まれています。葉酸は不足しやすい上に水溶性ビタミンで水に溶けやすいため、煮汁ごといただけるスープや鍋、炒め物にして効率よく取り入れていきましょう。
おいしいニラの選び方と保存方法
選び方
全体的に緑色が鮮やかで、葉先までピンとしていてみずみずしいものが新鮮な特徴です。葉の幅が広めで肉厚のもので、香りの強いものを選んでみましょう。
保存方法
乾燥に弱く傷みやすいので早めに使い切ることがおすすめです。冷蔵庫で保存する際はビニール袋に入れ、葉先までラップに包んだ状態で立てて保存しましょう。冷凍する場合は、水洗いして水分を良くふき取り、食べやすいサイズに刻んで、ラップで包んだ状態で保存するのがおすすめです。
食べ方のポイント
根元は捨てずに
根元の白い部分には葉先の4倍のアリシンが含まれるので根元ぎりぎりでカットし、無駄なく食べることがおすすめです。また、葉にはβ-カロテンが多く含まれるため、栄養素を無駄なくとれるように細かく切らずにざく切りにして、加熱する際は火を通しすぎないようにしましょう。
冬ニラは柔らかく、甘味がある
ニラは収穫時期によって繊維量や辛味が変わります。一般的に春から夏にかけて収穫されたニラは繊維質が多く、辛みもあるため火を通した方が食べやすくなります。秋から冬にかけて収穫されるニラは比較的柔らかく生でも食べやすいものが多いため、刻んでごま油や醤油などとあわせてタレにしたり、さっと加熱してお浸しにするなど時期によって調理法を変えて取り入れてみましょう。
また、アリシンは刺激が強いため、生の状態で過剰に摂取すると腹痛や下痢、便秘などの原因になることがあります。食べすぎには注意しましょう。
ニラのおすすめの調理法
ニラは様々な食材とも組み合わせやすく、調理時間が短く済むのもおすすめポイントです。
肉と組み合わせる
香りが強いので肉の臭い消しができます。ニラに含まれるアリシン効果の有効活用として、ビタミンB1を多く含む豚肉(ヒレ肉、もも肉、レバーなど)と組み合わせるのがおすすめです。
なかでも、鉄分の多いレバーと組み合わせることで、より疲労回復の効果が期待できます。
アリシンは加熱に弱いですが、油と一緒に調理すると分解されにくくなるため、炒め物にするのもおすすめです。
おすすめ料理:レバニラ
加熱時間は短めに
火が通りやすいので加熱時間が短く済み、調理の手間もかからないのが特徴です。
加熱時間が長くなると色が悪くなり、風味も落ちてしまうので、炒め物や鍋などの煮物に使う時は、他の具材に火が通った後、火を止めてから加えて余熱で火を通すのがおすすめです。
ゆでる際も1分~1分30秒を目安にしましょう。
レンジを使用する場合は、カットした状態で耐熱容器に入れ、1束なら600Wで1分30秒〜2分を目安に加熱します。カットしてから加熱することで加熱ムラが少なくなります。また、他の食材とあわせて調理する場合は、ニラは後から加えて加熱していきましょう。
おすすめレシピ
冬ニラの柔らかくて甘味がある特徴を活かした簡単レシピをご紹介します。
生のまま刻んでタレにすることで、ニラの栄養素を効率よく取り入れることができます。
魚や肉、豆腐にかけたり、お鍋のタレとしても活用できます。
ニラの万能タレ
【材料】作りやすい分量(約4~5人分)
・ニラ 1/2束
・醤油 大さじ4
・酢 大さじ1
・砂糖 小さじ2
・すりごま 大さじ1
(いりごまでも可)
・豆板醤(あれば) 小さじ1/2
・ごま油 大さじ2
【作り方】
1. ニラは5mm幅に切ります。
2. 容器に1.材料をすべて混ぜ合わせて1時間程置いたら完成です。
作り置きで様々な料理に活用できます(冷蔵保存5日程目安)
お好みで、おろし生姜やにんにくを加えても。
【活用法】
・タレとして:冷やっこ、刺身、しゃぶしゃぶ、鍋や焼肉の漬けダレなど
・和える:電子レンジで加熱したもやし、千切りキャベツなどのカット野菜、長芋や茹でた里芋、レンコンなどとあえるだけで副菜の1品に。
・調味として:炒め物の味付けや、肉や魚の下味としても活用できます。