ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

栄養満点「鍋」1 ~日本の鍋~

No.24

2005年1月13日

管理栄養士 杉田 恭子

1年の中でも最も寒さが厳しい季節になりました。お鍋がおいしい季節ですね。鍋のよいところは、良質なたんぱく質源の食材(肉、魚、卵、大豆製品など)と野菜がたっぷりとれることです。全国各地に様々な特産鍋がありますが、今回はその中のいくつかの鍋をとり上げ、ご紹介致します。
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<北海道>石狩鍋
北海道の特産品の鮭をたっぷり入れて、味噌で味付けをした鍋。
鮭の身の赤い色はアスタキサンチンという赤色色素で抗酸化能力が非常に高く、isikari
ビタミンEの数百倍、ベーターカロテンの数十倍とも言われています。アスタキサンチンは活性酸素を除去するため、動脈硬化などの予防に期待できます。また、肌荒れ、シミの抑制、美白に効果があると言われています。

<秋田県>しょっつる鍋
しょっつるとはハタハタなどの魚に塩を入れて2~3年漬け込み、十分に発酵させて作る魚のエキス「魚醤」です。石川県能登のイシル、タイのナンプラーなどと同様です。このしょっつるを調味料として、魚や野菜を入れた鍋がしょっつる鍋。
魚醤は血圧や悪玉コレステロールを低下させる作用のあるタウリンの含有量が多く、うまみ成分のアミノ酸も多く含んでいます。しかし、腐敗しやすい水産物を原料とするため、塩分濃度は一般の醤油より高く作られています。したがって、魚醤は隠し味として少量使うのが有効です。

<山形県>いもこ煮
秋の収穫が終わり一段落した時に食べる料理。里芋、こんにゃくと 野菜を煮込んだしょうゆ味の鍋。味噌で味付けをした鍋。
里芋は芋類の中ではカロリーが低く、食物繊維が豊富な食品です。また、ぬめり成分のガラクタンは食物繊維の一種で血中のコレステロールを下げる作用や、免疫を高める、脳細胞を活発にするなどの働きもも注目され始めています。

<茨城県>あんこう鍋
あんこうは骨以外は全て料理に使われ、「肝・えら・ひれ・皮・ぬの(卵巣)・袋(胃)・大身(身)」は「あんこうの七つ道具」と呼ばれています。あんこうの肝を炒ってだしで溶き味噌で味付けをし、そこにあんこう、野菜、焼き豆腐などを入れて煮込んだものがあんこう鍋です。
あんこうを食べる際の特徴の一つである「皮」ですが、あんこうの皮には皮膚の炎症を防ぐビタミンB2や、肌の張りをもたせるコラーゲンが豊富に含まれており、美容にも効果的です。美容を心がけている方は是非皮も食べましょう。
また、酒の肴にうってつけの「あんきも」(肝)には脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・Eや、亜鉛・銅などのミネラルが豊富です。ただし、とり過ぎると過剰摂取になる場合もありますので、食べ過ぎないように注意しましょう。

<東京都>柳川鍋
どじょうとささがきにしたごぼうをしょうゆ味で煮込んで卵でとじた鍋。
どじょうは体を温め生気を増す働きがあると言われています。栄養素としてはビタミンB2、ビタミンD、カルシウム、鉄分などが豊富で、うなぎと比較して、丸ごと食べる分栄養価は高いと言えます。スタミナ源にはもってこいの料理です。

<広島県>かき
土鍋の縁に味噌を土手のように盛って、鍋の中にかきを等の具を入れ、周りの味噌を溶かしながら食べる鍋。
かきはたんぱく質、鉄分、銅、亜鉛などが豊富に含まれており、天然の総合栄養剤といえます。
かきの栄養については2002年10月のコラムを参照ください。


<変わり鍋>豆乳鍋

ここまで各地の鍋についてご紹介してきましたが、ここでは、ちょっと変わった鍋ということで「豆乳鍋」の作り方をご紹介致します。
2003年の11月のコラムでもご紹介致しましたが、豆腐を始めとする大豆製品は健康食品です。豆乳鍋を食べて、健康的に温まりましょう。

【材料】2~3人前
・豆乳(成分無調整のもの)
・昆布
・水
・豆腐
・鶏肉(骨付きだとだしが出てよい)
・鮭やタラなどお好みの魚など
・白菜、春菊などお好みの野菜
・まいたけ、しいたけなどきのこ類

500ml
10cm程度
1.5リットル
1丁
200g程度
適量
適量
適量
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【作り方】
① 鍋に昆布を入れ水を1.5リットル位入れだしをとる(干ししいたけを使う場合は、その戻し汁
  も入れるとさらにおいしいだしがとれます)
② 豆腐、魚、肉、野菜などは食べやすい大きさに切っておく
③ だしを沸騰させ、沸騰したら、鶏肉を入れて煮る。アクをすくいながら、煮汁が2/3程度に
  なるまで煮詰める
④ 白菜の芯など固めの部分を入れて煮る
⑤ ④がしんなりしてきたら豆乳を入れる。豆乳を入れると吹きこぼれやすく、焦げ付きやすい
  ので火加減に注意してください
⑥ 魚、野菜、きのこ、豆腐など残りの材料を加える
⑦ 全体的に火が通ったら出来上がり
⑧ しょうゆや市販のポン酢をかけてお召しあがりください
  お好みでゆずの果汁や皮をかけてもおいしく頂けます