ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

カレー

No.59

2008年7月1日

管理栄養士 奥田志おり

7月はいよいよ夏本番となります。海や山など夏休みの計画に心はずむ一方この暑さにバテ気味で、食欲が落ちている方も少なくないのでは?そんな時にありがたいメニューが「カレー」です。あのスパイスの香りだけでも食欲がそそられますよね。
今や、「国民食」とも言える「カレー」。その美味しさの秘密から、知れば納得の効能、ひと工夫でランクアップのレシピまで。その魅力にズバッと迫ります。
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華麗なる!?カレーのルーツ

やはり、カレー誕生の地はインドですが、お釈迦様が生みの親という説もあるようです。
その後19世紀はじめにインドのスパイスを調合してイギリス風にアレンジした「カレー粉」が発売され、イギリス中にたちまち広まりました。このカレーはインドの辛いカレーではなく、小麦粉とカレー粉をバターで炒めて「ルウ」をつくる、マイルドな味のカレーでした。
日本へは、このイギリス式のカレーが文明開化とともにやってきたのです。当時のレストランではビーフステーキと並ぶ値段だったそうです。


刺激的!カレーの魅力ココにあり

カレーに使われるスパイスはざっと20種類と沢山ありますので今回は、某有名メーカーの「カレー粉」の原材料に主に使われているスパイスをご紹介します。

《辛味をつけるためのスパイス》curry1
●赤唐辛子 
辛味成分のカプサイシンが口腔内の粘膜を刺激して、唾液の分泌を促すので
食欲が増します。rpepper1
●こしょう
熱帯地域で採れる植物の実です。「黒こしょう」は実がまだ青いうちにつみとり、天日乾燥させたものです。こしょうの中でも香り、辛味ともに強いのが特徴です。
「白こしょう」は実が赤く完熟してから摘み採ります。マイルドな風味が特徴です。

《香りをつけるためのスパイス》
●コリアンダー
セリ科の植物の実です。カレーには粉末にしたものを使いますが、中国では香菜(シャンツァイ)、タイで パクチーと呼ばれ、葉も料理に使われています。
●クミン
セリ科の植物の種子です。独特の強い香りがあります。エジプト原産で、なんとミイラの防腐剤
としても 使われていたそうです。
●フェネグリーク 
マメ科の植物で、主に種子を使います。カラメルシロップのような甘い香りと苦味が特徴です。

《色をつけるためのスパイス》
●ターメリック  
日本では「ウコン」ともいい、カレーの「黄色」には欠かせないスパイ スです。この黄色が
私たちの脳に視覚的に 刺激を与えるので「美味しそう」と感じるのでしょう。インドでは半分以上の料理に使われています。
また東洋では昔から薬や染料としても使われてきました。「肝臓の機能を高める」など様々な
健康効果があると言われ、近年盛んに医学的有用性などが研究されていますが、現段階では
信頼できるデータは 十分ではないようです。


ご用心!カレーに潜む見えない○○○

某有名メーカーのカレールウのパッケージに掲載されている一人分のレシピで作るカレーの
カロリー(ご飯を除いた分、つまり「カレールウ+具+炒め油」のカロリー)を計算してみますと成人女性1食分の約半分を占めます。そのうち、「カレールウ」が占めるカロリーの割合は
どれくらいだと思われますか?

答えは「50%」です。ルウの原材料名には「牛脂豚脂混合脂、小麦粉、食塩、でんぷん、砂糖、
カレーパウダー…」とあります。原材料名表示は多く含まれる材料順に記載されていますから、
カレー粉よりも牛脂豚脂混合脂がはるかに多く含まれていることがわかります。たった一片の
ルウではありますが、サラダ油にして小さじ2杯分の脂肪が含まれており、具を除くルウだけで
一般成人女性一食あたりの脂質量に匹敵することになります。
これに具として入れる肉や、あわせてサラダなどをとった場合のドレッシングなどを加えると、
一食としてはかなりの高脂肪になってしまうことになるわけです。


美味しいカレーのヒミツは「油」にあり!?

しかし美味しいカレーに仕上げるにはこの「油」が大事な役割を果たしているのです。olive1
インド料理のレシピなどをご覧いただくとわかるのですが、スパイスは必ず油で炒めてから使われています。料理の途中や最後に振り入れるようなことはありません。
なぜなら、スパイスは水よりも油と馴染みやすいため、炒めることで、よりいっそう
香りが立つのです。


熱きカレー商戦!どれを選び、どう使うかはあなた次第!!

カレールウが見かけによらず高カロリーだからと言って、食べずに我慢できるものでもありません。また、共働きが多い現代、市販の商品を使わずにルウから手作りしていてはカレーを気軽に味わえません。
ちなみに私の近所のスーパーではカレールウは3メーカー、17商品。レトルトカレーにいたっては11メーカー、30商品も陳列されていました。中には最近話題のメタボ対策が影響していることもあってか、カロリーオフ (油分控えめ)の商品もありました。
各社、趣向を凝らした商品がこれだけ豊富に揃っているのですから、利用しない手はありません。


カレーのレシピ

市販のレトルトカレーを上手く利用したワンランクアップカレーのご紹介です。
商品を丸々一人前分使わないところが油控えめに仕上げる秘訣です。その替わり「トマト」で酸味を、「ヨーグルト」でコクとまろやかさをプラスしてみました。これらを加えることで栄養価もさらにアップします。
時間にして3分もあれば完成するお手軽カレーです。
簡単な上に「超ヘルシー」でお勧めレシピなので是非お試し下さい。

●これぞ究極!油控えめ3分クッキングカレー●
【材料】2人分
・市販のレトルトカレー  1袋(一人前) nasukar1
・ホールトマト缶     1缶(400g)
・プレーンヨーグルト   大さじ4杯

【作り方】
①鍋にホールトマトを手でつぶしながら入れ、強火で煮込みます。      
   (煮詰め具合はお好みです。スープカレーのようにサラッとしたカレーが お好みであれば
    さほど煮詰める必要はありません。また、酸味が苦手な方は トマトの甘味を引き出す程度
    まで煮詰めると良いでしょう。)
②①の鍋にレトルトカレーの中身とヨーグルトを加え火が通ったら出来上がりです。

《おすすめポイント!》
● お好みで、板ずりしてサッと茹でたオクラの小口切りを加えると夏らしいカレーになります。
 (また、ゆで卵や 納豆などを加えますと栄養バランスがさらにアップします。)

● 実はこのレシピ、「油分控め」なだけではなく同時に「塩分控えめ」でもあります。
 市販のレトルトカレーの塩分は一食平均2.8gほど。ここでは一人あたり1/2人前使用して
 いますので単純に塩分を50%ダウンできます。
 これだけ減塩してもトマトの酸味や旨み、そしてカレーのスパイスが効いていますので
 美味しくいただけると思います。(ホールトマト1缶に含まれる塩分はわずか0.1gほど
 です。 ホールトマト缶はトマトジュースとは違い、塩分を添加している商品は少ない
 ようです)

● このレシピの応用編として、市販のカレールウを利用することもできます。
 その場合は、カレールウは2人分で1片ご使用ください。ルウを減らした分を
 ホールトマトとプレーンヨーグルトで補います。