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栄養コラム

あさり

No.268

2026年4月1日

管理栄養士 豊泉友加里

春はあさりが旬を迎える季節です。ふっくらと身が入り、うま味が増すこの時期は特におすすめです。みそ汁や酒蒸し、パスタなど幅広い料理に活用でき、手軽に取り入れられる春の代表的な貝です。低エネルギーでありながら栄養価が高く、健康づくりにも役立つ食材です。


歴史

あさりは古くから日本人に親しまれてきた食材で、縄文時代の貝塚からも多く発見されています。江戸時代には、現在の東京湾周辺で盛んに採取され、庶民の食卓に欠かせない存在でした。潮干狩りの文化も古く、春の風物詩として現在も楽しまれています。


あさりの旬は、春(3月~5月)と秋(9月~10月)の年2回あります。中でも産卵を控えた春は、身がふっくらと肥えて旨味が増し、特に美味しい時期とされています。この時期は潮干狩りシーズンでもあり、スーパーなどでも安価で新鮮なものが手に入ります。


あさりを使った郷土料理 

あさりは日本各地で親しまれてきた食材で、地域ごとにさまざまな郷土料理があります。

■ 深川めし(東京・深川発祥の有名な郷土料理)
江戸時代に漁師が手早く食べるために生まれた料理です。
あさりとねぎを味噌や醤油で煮たものをご飯にかけるタイプと、あさりをご飯と炊き込むタイプの2種類があります。

■ ガンガン焼き(千葉県・三重県など)
・あさりやハマグリを缶や鍋で蒸し焼きにする料理で、豪快に食べる漁師料理です。

■ あさりのしぐれ煮(三重県桑名市)
「桑名のはまぐり」と並ぶ桑名市の名物です。あさりを生姜と一緒に甘辛く煮た保存食で、
ご飯のお供やお弁当にも最適です。


主な種類

マアサリ

一般的に「あさり」として流通している種類。全国の内湾や干潟に分布しています。

ヒメアサリ

やや小ぶりで、主に西日本に分布。味が濃いのが特徴です。

外国産アサリ

中国や韓国などから輸入されるものも多く、通年流通しています。
韓国料理のスンドゥブなどにも使われています。
地域によって味わいや形状が異なるため、食べ比べも楽しみのひとつです。


栄養的特長

高たんぱく、低脂質、低エネルギー

あさりは100gあたりたんぱく質5.7g、脂質0.7g、エネルギー約30kcalと、脂質が少なくエネルギーも控えめな食材です。同じたんぱく質量で比較すると、卵や肉類に比べてあさりは脂質が少なく、摂取エネルギーを抑えることができます。
そのため、おかずの食材をあさりに置き換えることで、無理なくエネルギーコントロールにつながります。


ビタミンB12

あさりはビタミンB12を非常に多く含む食品です。ビタミンB12は赤血球の形成や神経の働きに関わり、貧血予防にも重要な栄養素です。

あさりには100gあたり44.8μgのビタミンB12が含まれ、魚介類の中でも特に多い食品です。成人の1日の推奨量は約2.4μgのため、あさりのむき身約2粒(殻付き20g)で3.6μgと1日の必要量を上回る量を摂取できます。


あさりは鉄分が豊富な食品としても知られています。鉄は赤血球の材料となり、体内で酸素を運ぶ役割を担う重要な栄養素です。不足すると貧血や疲労感の原因になります。

あさりには100gあたり約2.2mgの鉄が含まれており、ほうれん草と同程度で、魚介類の中でも多い食品です。また、水煮缶では加工時に成分が凝縮されるため、100gあたり約30mgとさらに多く含まれています。調理の手間がかからず、手軽に鉄分を補いたい時におすすめです。

タウリン 

あさりには、疲労回復や肝機能のサポートに関わる成分タウリンが豊富に含まれています。栄養ドリンクなどで耳にすることの多いタウリンはアミノ酸の一種で、体内では主に肝臓や筋肉に存在し、さまざまな生理機能に関わる成分です。肝臓の健康維持や疲労回復のほかに、血中のコレステロールや中性脂肪を減らす、血圧を正常に保つ作用など、生活習慣病予防効果が期待されています。
タウリンは水に溶ける性質があるため、焼く・揚げる調理は比較的損失が少なく、またスープや鍋など煮汁ごと取り入れる調理にすると効率よくタウリンを摂取できます。


新鮮なあさりを見分けるためのポイント

下記のポイントを確認することで、新鮮で身の詰まったあさりを選ぶことができます。

1.口がしっかり閉じているか

あさりの殻がしっかり閉じているものを選びましょう。
口が開いているものは、鮮度が落ちている可能性があります。また、軽く触れても閉じないものは、すでに弱っている場合があるため避けるのが安心です。

2.パック内の海水が澄んでいるか

海水と一緒にパックされている場合は、海水が透明で澄んでいるものを選びましょう。
濁っている場合は、あさりが弱っていたり、死んでしまっている可能性があります。

3.殻の形や割れの確認

あさりの殻の形から、育った環境や身の入り具合をある程度判断することができます。
砂地など柔らかい場所で育ったあさりは、殻が平たく大きく育ちやすく、身もふっくらとしていることが多いとされています。一方、硬い場所で育つあさりは、殻の成長が制限されるため殻が丸みを帯び、身が小ぶりなものが多い傾向があります。
そのため、美味しいあさりを選ぶ際は、平たく広がった形のものを選ぶのがおすすめです。
また、殻が割れているものや欠けているものは避けるようにしましょう。

4.殻の厚さや重さ

殻の厚さや重さも、新鮮で身の詰まったあさりを見分けるポイントです。
一般的に、殻がやや薄く、持ったときに適度な重みを感じるものは、身がしっかり詰まっていることが多いとされています。軽すぎるものは、身が痩せている可能性があるため注意しましょう。


食べ方のポイント、注意点

あさりを美味しく安全に食べるためには、調理前の下処理や加熱方法に注意することが大切です。以下のポイントを意識して取り入れてみましょう。

1.砂抜きを行う

あさりは砂を含んでいることが多いため、調理前に砂抜きを行いましょう。
一般的には、海水と同じくらいの濃度(約3%)の塩水にあさりを浸し、暗い場所で 1~2時間ほど置くと砂を吐きやすくなります。

【砂抜きのコツ】
・濡らした新聞紙を上にのせたり 、アルミホイルで軽く覆ったりすると、より砂出ししやすい状態になります

・室温が高い夏場は衛生的に冷蔵庫に入れた方が好ましいですが、
それ以外は常温でOKです ※2時間以上置いておくようなら冷蔵庫が安心です

・40~50℃程度のぬるま湯に10~15分ほど浸すと、短時間でも砂を吐きやすくなります。

2.加熱を十分に行う

あさりは中心部までしっかり加熱して食べることが大切です。加熱すると殻が自然に開くため、開かないものは無理に食べないようにしましょう。
冷凍のむき身も多く出回っていますが、生の状態で冷凍されているものもあります。
食べる際は、必ず十分に加熱しましょう。

3.砂抜き後に冷凍する

砂抜きをしたあさりは、殻付きのまま冷凍保存することもできます。冷凍することで細胞が壊れ、うま味成分であるコハク酸が増えるため、だしが出やすくなります。冷凍したあさりは解凍せず、そのまま加熱調理するのがおすすめです。

4.汁ごと食べる料理がおすすめ

あさりは鉄分やビタミンB12などの栄養素に加え、うま味成分も汁に溶け出します。みそ汁やスープ、酒蒸しなど汁ごと食べられる料理にすると、栄養やうま味を無駄なく取り入れることができます。

5.食べ過ぎに注意(プリン体)

あさりは栄養価の高い食品ですが、プリン体も含まれています。痛風や尿酸値が気になる方は食べ過ぎに注意しましょう。


おすすめの組み合わせ

あさりはうま味成分やミネラルが豊富な食材で、他の食材と組み合わせることで栄養面や味の面でも相乗効果が期待できます。

きのこ類

きのこ(しめじ・えのきなど)に含まれるうま味成分「グアニル酸」と、あさりに含まれるコハク酸が合わさることで、うま味の相乗効果が生まれ、味わいがより濃厚になり美味しさがアップします。
また、きのこには現代の食事で不足がちな食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維は腸内環境を整えたり、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがありますので一石二鳥です。

ただ、食物繊維は一部のミネラルの吸収に影響することもありますが、あさりのようにミネラルを多く含む食品と組み合わせることで、不足を補いながらバランスよく栄養をとることができます。

緑黄色野菜(小松菜・ほうれん草・にんじんなど)

緑黄色野菜にはビタミンCが多く含まれており、あさりに含まれる鉄の吸収を助ける働きがあります。そのため、小松菜やほうれん草などの野菜と組み合わせることで、鉄分を効率よく摂取することができます。


おすすめレシピ

東京都の郷土料理の1つでもある深川めし。
一見手間がかかりそうですが、あさりの水煮缶を活用し、炊き込みご飯にすることで手軽に作ることができます。あさりの旨みがしっかりあるため、味付けは控えめでも美味しくいただけます。多めに作って冷凍しておけば、時間がないときでも手軽に準備ができ、多少おかずが少なくても様々な栄養がしっかりとれます。

水煮缶で簡単深川めし   

【材料(2~3人分)】 
・あさりの水煮缶           1缶(130g)           
・米                 2合
・にんじん              約1/4本(30g)
・しめじ               1/4パック(30g)
・生姜                1かけ
・醤油                大さじ1
・みりん               大さじ1
・酒                 大さじ1
・塩                 小さじ1/4
・青ねぎ(青い部分)または小ねぎ  適量

【作り方】
1.米を研いで30分ほど浸水し、水気を切ります。
2.あさりは身と汁を分けておきます。
3.にんじんと生姜は皮をむいて粗みじん切りに、しめじは石づきを落として小房に分け、
 半分の長さに切ります。
4.炊飯器に米、あさりの汁、調味料を入れ、水を加えて2合の目盛りに合わせます。
5.あさりの身、3をのせて軽く混ぜてから炊きます。
6.炊き上がったら軽く混ぜ、仕上げに刻んだ青ねぎ(または小ねぎ)を散らして完成です。

【アレンジ】
・冷凍のむき身でも下処理いらずで簡単に調理できます。
・めんつゆを使うことで、手軽に味付けができます。
 ※2倍濃縮の場合は大さじ3が目安です
 より甘みやコクを出したい場合は、みりんを小さじ1程度加えるのがおすすめです
・炊いたご飯に、あさりのしぐれ煮と千切り生姜を混ぜるだけでも、簡単に“深川めし風”の味わいを楽しめます。