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栄養コラム

地産地消の野菜を食べましょう ~「のらぼう菜」のご紹介~

No.136

2015年4月1日

管理栄養士 田口 瑛里沙

4月に入り、花の色が美しい季節になりました。気温もすっかり春らしくなり、外に出かける機会も多くなりそうですね。暖かくなるにつれて旬を迎える食物が増え、続々と食物の収穫が行われます。皆さんはご自身の地域で生産・収穫されたものを食べたことはありますか。今回は「地産地消」についてのお話です。
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地産地消とは

地産地消とは「地域で生産されたものをその地域で消費する」ことを言います。スーパーなどでは日本各地、さらには海外からの農水産物が並んでおり、いろいろな食品がいつでも手軽に手に入り、旬の時期に関係なく購入できるようになりました。そのため輸入食品や品質改良された食品、農薬問題等が増え、消費者の食や環境に対する安全・安心志向がかなり高まっています。 現在では地産地消の持つ役割5がとても重要なものとなっており、生産者との関係の構築に役立つ地域発の動きとして注目され、地産地消を意識して農産物を生産、販売する生産者や買い物をする消費者が増えています。国や地方自治体としても日本の食料自給率の向上に向け重点的に取り組むべきと位置づけ、推進体制の設備や地域計画の策定など全国で積極的に支援しています。

【地産地消の良いところ】
・新鮮でおいしい食材が手に入る
・本来の旬の時期を知ることができる4
・生産者の顔が見えるため安心・安全
・流通コストや二酸化炭素の排出減などで環境への負荷が少ない
・生産者との交流ができ、食べ方や調理法、食の大切さを学ぶ機会になる
・街づくりや地域活性化につながる

【地産地消の取り組み】
地産地消の取り組みは、生産量のアップや食育などのコミュニケーションツール、観光客数の増加など活用の場は多様です。身近な地産地消では、スーパーなどにある特産物コーナーや畑などにある無人販売所、道の駅などの直売所などがあります。ご自身の地域ではどのような地産地消の伝統食品があるか調べてみるのも面白いですね。また旅行へ出かけたときは、地域の直売所や市場でめずらしい農産物を見つけて地域の伝統食品を味わってみてはいかがでしょうか。


地産地消の伝統野菜「のらぼう菜」のご紹介

「のらぼう菜」という野菜をご存知でしょうか。私の住んでいる地域で作られている地産地消の伝統野菜の一つです。春のこの時期に旬を迎え地元の直売所などで多く出回ります。学生時代にのらぼう菜の農業体験をしたこともあり、今回は私の地域の伝統野菜「のらぼう菜」についてご紹介したいと思います。

~のらぼう菜とは~
のらぼう菜はアブラナ科の野菜で、見た目は菜の花に似てい6ます。菜の花は「和洋なばな」に属しますが、のらぼう菜は「洋種なばな」に属し、全体的に緑色が濃く、主に花茎や葉を食します。 現在では、東京都あきる野市周辺を中心に、東京都西多摩群周辺や埼玉県飯能市周辺、神奈川県川崎市などで収穫され販売されており、江戸東京野菜として知られている野菜です。味は、菜の花のような苦味は全くなく甘味があり、アスパラのような歯ごたえのある食感が特徴です。
春野菜に多い苦味やクセがないため、みそ汁の具やお浸し、
炒め料理など多種多様な料理に活用することができます。

~のらぼう菜の栄養的特徴~
のらぼう菜は、緑黄色野菜に分類されています。緑黄色野菜は、野菜の中でもカロテンの含有量が多い食品で、カロテンの持つ強い抗酸化作用により、動脈硬化をはじめとする様々な病気の予防や治療効果が高いことで注目を浴びています。さらに緑黄色野菜の中でも葉物に多く含まれるビタミンの一種である「葉酸」も動脈硬化を予防すると言われています。この葉酸が、のらぼう菜にはとても多く含まれており、同じアブラナ科の緑黄色野菜「小松菜」と比較すると、約2倍も多く含まれ、のらぼう菜100gで成人1日の葉酸推奨量を満たすことができます。

●葉酸の含有量(100g中)

 葉酸(μg)
のらぼう菜 240
小松菜110

※成人1日の葉酸推奨量(食事摂取基準2015年版)・・・240μg

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また、葉酸はビタミンB12とともに血液成分の赤血球の生成に関与しており、これらは貧血予防にとても重要なビタミンです。貧血というと鉄分の不足と思いがちですが、葉酸やビタミンB12が不足することでも起こりますので、貧血傾向の方は鉄分とあわせて葉酸とビタミンB12も一緒に摂ることをおすすめします。


おすすめレシピ

のらぼう菜を使った春らしい色どりのレシピをご紹介します。
のらぼう菜の葉酸と、貝類や卵に多く含まれるビタミンB12と鉄分を合わせ、貧血予防にもおすすめのレシピです。

●のらぼう菜とあさりの卵炒め

【材料】(2人分)
・のらぼう菜 ・・・150g(約1/2束)2
・あさりむき身 ・・・40g(約10個分)
・卵 ・・・2個
・にんにく ・・・1/2片
・醤油 ・・・小さじ2
・酒 ・・・小さじ2
・塩 ・・・少々
・こしょう ・・・少々
・ごま油 ・・・小さじ2

【作り方】
1.にんにくはみじん切りにし、のらぼう菜は、塩少々(分量外)を入れた熱湯でさっとゆで、
     ザルに上げて冷ましたあと5cmくらいの長さに切っておきます。
2.フライパンに油(分量外)を軽くひき、溶いた卵を流し入れて混ぜ、半熟状になったら一度
     お皿に移しておきます。
3.2で使用したフライパンにごま油とみじん切りしたにんにくを入れ、香りが立つまでにんに
     くを炒めます。
4.にんにくに香りが出てきたら、のらぼう菜とあさりむき身を入れて軽く炒めたあと、醤油、
     酒を入れてさらに炒めます。火が通ったら、2でお皿に移した卵を入れ、手早く混ぜ合わせ
     ます。
5.最後に塩、こしょうで味を調えたら完成です。

※水煮缶のあさりを使う場合は、水煮缶に含まれる塩分により味が濃くなるので、調味料の量は
 調整しましょう。
※殻つきの新鮮なあさりを使えば見た目もボリュームアップし、メインディッシュになります。