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栄養コラム

そら豆

No.137

2015年5月1日

管理栄養士 田原 佳奈

5月は暦の上で「立夏」となり、夏を迎える季節になりました。新緑のさわやかな季節ですね。今回紹介するそら豆は、「おいしさは3日間だけ」と言われているほど鮮度が落ちやすい食材です。ほくほくした食感、甘みや独特な香りは今の時期だけ楽しめます。是非旬を味わってみてください。1


そら豆について

そら豆は1粒が約1寸(3㎝)ある大粒の「一寸豆」が主流で、地方や栽培時期によって「唐豆」「四月豆」「五月豆」「夏豆」「のら豆」などと呼ばれています。4~6月が旬のそら豆は未熟豆を指し、緑色のさや付きでスーパーなどに並びます。日本では鹿児島県をはじめとして千葉県、茨城県、愛媛県などで生産されていますが、海外でもヨーロッパ、アフリカ、アジアなどの広い地域で食べられています。例えば中華調味料の豆板醤(トウバンジャン)はそら豆が原料であったり、エジプトではターメイヤというそら豆のコロッケ、トルコではサンダリソルタンというそら豆のペーストを使って料理をするなど身近な食材の一つとなっています。


そら豆の栄養

日本では戦前の米のない時期にそら豆を「糧」として用いていました。そら豆は炭水化物、たんぱく質を主として多くのビタミン、ミネラルを含むことから、今でも世界の食料難の地域における解決案の一つとしても注目されています。

●植物性のたんぱく質が豊富
たんぱく質は身体をつくり、また体を回復させるために必要な栄養素です。たんぱく質を含む食品には植物性と動物性がありますが、現代の日本における食生活では動物性食品からたんぱく質を摂取する割合が多く、脂質摂取量も過剰になりがちです。そのため、植物性食品の割合を増やすことが勧められています。 そら豆を代表的な植物性たんぱく質食品の豆腐と比較すると、そら豆は豆腐の2倍以上もたんぱく質を多く含んでいます。さらにエネルギー源を効率よく代謝するためのビタミンB1やB2も豊富で、疲れたときや身体をよく動かすときにおすすめの食品です。

 たんぱく質(g)ビタミンB1(mg)ビタミンB2(mg)
そら豆10.50.220.18
絹ごし豆腐4.90.100.04

                         食品100g中(日本食品標準成分表より)
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料理への活用

そら豆はさやのまま焼いたり、塩ゆでしたりして食べることが多いと思いますが、いろいろな料理に使うことができます。
サラダや煮物に加えたり、炒め物や揚げ物との相性も良く、味が強くないので和食や洋食、中華など様々な味にもなじみます。また鮮やかな翡翠色を生かし、彩りを添える食材としても活用してみてください。

【おすすめ活用法】
・塩炒め、ガーリック炒め
ゆでたそら豆をさっと炒めて、シンプルな味付けがそら豆の独特な香りを引き立たせます。

・ポテトサラダ
いつものポテトサラダにゆでたそら豆を加えて、一味違ったほくほく感を楽しめます。

・ポタージュ
ゆでたそら豆を皮ごとペースト状にして使います。皮に含まれる栄養素5や加熱によって流出しやすいビタミンもしっかり摂ることができます。

・かき揚げ
高温でさっと揚げると一層甘味が引き立ちます。

・あんかけ
豆腐や野菜のあんかけ料理のあんにゆでたそら豆をからめると、そら豆の翡翠色が加わって鮮やかな色合いとなり、食欲をそそります。


選び方・保存方法

鮮度が落ちやすいのでなるべくさやつきで購入しましょう。
【ポイント】3
・さやの緑色が鮮やかできれい
・うぶ毛がとれていない
・豆の形がさやからもわかる
・豆の大きさが揃っている

購入後はなるべくすぐに使用しましょう。調理する直前にさやから出します。使いきれない場合は、ゆでてから冷凍庫で保存しましょう。


おすすめレシピ

エネルギー源となるパスタと、たんぱく質の多いそら豆をあわせた、疲れた体を回復させるメニューです。レモンや酢をきかせてさっぱりと頂けるので、疲れがでやすいこの時期におすすめです。

●そら豆の冷製パスタ

【材料】(2人分)
・パスタ・・・160g(細め)
・そら豆・・・60g(12~16粒)
・ミニトマト・・・6個2
・きゅうり・・・1/4本
・ハム…2枚
・サラダ菜…4枚
・ソース
 a.オリーブオイル・・・大さじ2
 b.レモン汁・・・大さじ1
 c.酢・・・大さじ1
 d.砂糖…小さじ1/2
 e.塩・・・小さじ2/3
・黒こしょう…適宜
・粉チーズ…適宜
・レモンの皮…お好みで

【作り方】
1.そら豆をさやから出し、水200mlに2gの塩(分量外)を入れて沸騰させたお湯で3分ほど
     ゆで、薄皮をむきます。
2.トマトは1/4カット、きゅうりを5mm角、ハムを1cm角切りにします。
3.ソースの調味料をよく混ぜ合わせ、1、2にからめます。
4.パスタをお好みの硬さに茹でて冷水で冷やし、3に合わせます。
5.お皿にサラダ菜を敷いて4を盛り付け、黒こしょう、粉チーズをかけ、お好みですりおろし
     たレモンの皮も加え てお召し上がりください。

※パスタの代わりにご飯を用いてもおいしくいただけます。ご飯を用いる場合はさっと水洗いし
 てよく水気をきってからあえてください。
※その他の具として、アンチョビ、オリーブ、パプリカなどもおすすめです。