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栄養コラム

数の子

No.169

2018年1月4日

管理栄養士 田口瑛里沙

あけましておめでとうございます。
戌年は「一つの区切りを迎え、新たなスタートに向けて準備を整える年」といわれます。新たなことにチャレンジしていきましょう。
さて、お正月といえば「おせち料理」ですが、年々おせち料理を食べない人が増加しているようです。おせち料理には日本の伝統的な料理が多く、新春祝いのお正月だからこそ食べる料理もたくさんあります。今回は、昔から食べられていておせち料理には欠かせない「数の子」についてご紹介します。


数の子はおせちの代表食材

数の子はにしんの卵のことで、一度に多くの子を産むことから、子孫繁栄や子宝に恵まれることを願った縁起物として、お正月や婚礼などのお祝いの席でよく振る舞われています。数の子の歴史は古く、室町時代から食べられており、おせち料理が主流になった江戸時代のときから縁起物の食材として好まれていました。その頃から食べられていた田作りや黒豆(関西地域では黒豆の変わりに「たたきごぼう」)と合わせて「祝い肴三種」といわれ、
この3品があれば正月が祝えるものの一つとして正月には欠かせない食材となっています。数の子の黄色は、おせち料理を鮮やかにさせ、見た目も明るくさせてくれます。


数の子について

数の子の由来は、にしんの別名を「かど」といい、その卵なので「かどの子」と呼ばれていましたが、子の数の多さから「数の子」という言い方に変化していったようです。にしんの生涯の産卵数は、魚の年齢に万を掛けた数で3万~10万ほどになり、名前の由来の通り多くの卵を産みます。
数の子のような魚卵は鮮度が落ちやすいので、乾燥品または塩蔵品(塩漬け)で販売されていることがほとんどで、現在の主流は、加工のしやすさや家庭でも扱いやすい塩蔵品が多くなっています。乾燥品の方は戻すのに時間や手間がかかり、さらに値段も高いことからあまり流通されなくなりましたが、塩蔵品よりもおいしく、味が良いといわれています。

日本では、明治時代からにしんの漁業が盛んで、主に北海道の留萌市と小樽市で多く生産され、北海道の水産業を支えていました。小樽には、当時にしん漁のために建てられた「にしん御殿」という住居と加工場が併設されている建物が今でも北海道有形文化財として残っています。また、留萌市では学校給食で数の子が出されたり、年末年始になるとお店に数の子を用いた限定おにぎりなども販売され、親しまれています。


数の子を用いた郷土料理

数の子の食べ方は、かつお節をかけて醤油をつけて食べたり、お寿司のネタとして食べることが多いですが、生産量が多い北海道ならではの数の子を用いた代表的な郷土料理があります。

●松前漬け
数の子、細切りのスルメや昆布を醤油やみりんなどで漬け込んだ保存食です。函館より南西部にある松前郡松前町が発祥で「松前漬け」という名前がつきました。北海道では、お正月に余った数の子を松前漬けにして、保存することが多いようです。


数の子の特徴

数の子は他の魚卵とは違った特徴があります。

●魚卵の中でもコレステロールやプリン体が少ない
魚卵にはコレステロールやプリン体が多いため、気になる方は魚卵を控えている方も多いと思いますが、数の子は魚卵の中でもコレステロールとプリン体が比較的少ない食品です。

(100g中)

 コレステロール(mg)プリン体(mg)
数の子23021.9
明太子280159.3
たらこ350120.7
いくら4803.7

(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年、
   公益財団法人痛風財団「食品中のプリン体含有量」より)

数の子のコレステロールは、いくらに比べて約1/2、たらこや明太子に比べても少なめです。
ただ、最近の研究において、食事からとるコレステロールと血液中のコレステロールの相関性が低いということより、厚生労働省が策定する日本人の食事摂取基準(2015年版)からコレステロールの1日の摂取基準がなくなりました。とはいえ、コレステロールの多い食品をとりすぎることは注意することが必要です。
また、プリン体については、尿酸を作り出すもととなるため、プリン体が多い食事習慣は尿酸値を上げ、痛風や尿路結石を招く原因になります。そのため、尿酸値が高めの方はプリン体が多い食品を控えめにする必要がありますが、数の子のプリン体は「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」の食品に含まれるプリン体含有量の目安によると、極めて少ないところに分類されており、たらこの約1/6、明太子の約1/7となっています。

●効率よくDHA・EPAがとれる
青魚に多く含まれるDHAやEPAが数の子にも含まれています。青魚に比べると量は少ないですが、脂質量に対するDHAやEPAを含む割合が多いため、効率よく摂取することができます。
例えば、青魚のさばやさんまの脂質量に対するDHA、EPAの含有率を比較すると、さばとさんまは12~13%程度ですが、数の子は30%と、さばやさんまよりも多いことがわかります。

【脂質量に対してのDHA・EPAの割合(100g中)】

DHAやEPAは、血液の粘度を下げ血液の流れを良くし血栓をできにくくしたり、コレステロールの合成を抑えて、LDLコレステロールを下げたりする効果があるので、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防に繋がります。

●独特な食感
数の子は「耳で食べる」といわれるほど食感がよく、ポリポリとした歯ごたえの良い食品です。にしんは、海藻に卵を産み付けるため、波に揺られても落ちないように粘着性の強い固い卵になっているので、独特な食感が味わえます。お寿司のネタや煮物だけでなく、パスタの具やサラダ、お浸しなどの料理と組み合わせると、食感の良い料理が楽しめます。


数の子の塩抜きと下処理方法

お店で売られているほとんどが塩蔵品なので、食べる際は塩抜きが必要です。また、数の子には薄い膜が張っているため、膜を取り除く下処理も一緒に行う必要があります。通常の塩抜きは、6~8時間ごとに塩水を変えながら1日以上浸けますが、短時間で簡単にできる塩抜き、下処理方法をご紹介します。

【材料】
・数の子 ・・・400g
・ぬるま湯(40度ほど) ・・・1リットル
・塩 ・・・小さじ2

【方法】
1.大きめのボールにぬるま湯と塩を入れてかき混ぜ、塩水を作ります。
2.1に数の子を入れ、1時間程浸けます。
3.数の子の表面に薄皮が浮いてくるので、こすって薄い膜を取り除いていきます。
4.違うボールに水(分量外)を用意し、3を入れた後、冷蔵庫で1~2時間程つけます。
  このとき、30~40分ごとに計3~4回水を取り替えましょう。
5.味見をして食べられる程度に塩が抜けたら、塩抜き完了です。

【注意】
塩を抜きすぎると苦味が出るので、水を入れかえたときに味見をしてこまめに確認すると良いでしょう。塩抜きをしすぎてしまったら、塩抜きしたときよりも塩を1.5倍にした塩水に味見をして確認しながら1~2時間ほど浸けましょう。


おすすめレシピ

お正月で残った場合の数の子のアレンジレシピをご紹介します。旬の水菜を用いて、数の子の
コリコリした食感と水菜のシャキシャキ感を合わせた、簡単にできるサラダです。

●数の子と水菜の味噌マヨサラダ

【材料】(2人前)
・数の子 ・・・2本(細かく切れている場合は3~4切れ)
・水菜 ・・・1.5株(約75g)
・きゅうり ・・・1/2本
・味噌 ・・・小さじ1杯
・マヨネーズ ・・・大さじ2杯
・七味 ・・・少々

【作り方】
1.数の子は1cm、水菜は4cmくらいの長さに切り、きゅうりは千切りにしておきます。
2.ボールに味噌とマヨネーズを入れて、混ぜ合わせます。
3.2に1を入れ、全体が混ざるようにかき混ぜます。
4.全体が混ざったらお皿に盛り、七味をかけて完成です。

※数の子の煮物など味付けされた数の子でもおいしくいただけます。
 その際は上記分量では塩味が濃くなってしまうので、味噌は小さじ1/2程度にしましょう。