ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

豆乳

No.148

2016年4月1日

管理栄養士 田口瑛里沙

昨年行われたミラノ万博で、豆乳クリームを用いた日本発のイタリア料理「ソイタリアン」が話題となり、日本だけでなく、世界中で豆乳が注目されるようになりました。以前から体に良い飲み物として注目されている「豆乳」ですが、これからは飲むだけでなく様々な料理で活用されるようになり、ますます人気の食品となりそうです。今回は「豆乳」についてのお話です。
豆乳top


豆乳について

豆乳とは、ゆでた大豆をすりつぶして絞ったときに出た汁のことをいいます。現在日本においては、無調整豆乳、調整豆乳、豆乳飲料の3種類に分けて販売されています。

【3種類の豆乳の特徴】
豆乳は「豆乳類の日本農林規格(JAS規定)」により、大豆固形分がどのくらい含まれているかで分類しています。

           大豆固形分       
  無調整豆乳    8%以上  
  調整豆乳    6%以上  
  豆乳飲料  果汁入り    2%以上  
  その他    4%以上  

●無調整豆乳
大豆から絞りとった豆乳に水のみを加えて作られた豆乳です。大豆固形分が多く含まれているため、大豆本来の味やにおい、栄養成分などがほぼそのままで、大豆が液体になった感じの飲み物です。

●調整豆乳
大豆から絞りとった豆乳に砂糖や塩、香料などを加えて飲みやすく調整した豆乳です。甘味があり、無調整豆乳に比べて飲みやすいですが、砂糖などを加えている分カロリーが高くなりがちです。

●豆乳飲料
調整豆乳にコーヒーや紅茶、フルーツ、野菜などで風味をつけた豆乳です。豆乳以外の味を加えているため、大豆のにおいが苦手な方でも飲みやすく改良されています。


豆乳の栄養

豆乳は、高栄養で様々な栄養成分がバランス良く含まれている食品です。中でも良質なたんぱく質を多く含み、ビタミンやミネラルも多いことが特徴です。

●大豆たんぱく質
たんぱく質は、血液や筋肉などの体をつくるための大切な栄養素です。特に大豆などの大豆製品は、たんぱく質の中でも体内でのたんぱく質利用効率が高い良質なたんぱく質といわれています。豆乳1パック(200ml)分は、大豆の煮物や納豆の1食分とほぼ同量のたんぱく質量が含まれています。
また、豆乳に含まれる「大豆たんぱく質」は、特定保健用食品(トクホ)の機能成分として認可されており、腸内でコレステロールを吸着して体外に排泄を促す効果があります。トクホで認可された豆乳も現在では数多く出ています。

●鉄
鉄は、全身に酸素を運搬する赤血球をつくるために重要なミネラルです。鉄が不足すると赤血球が作られなくなり、全身に血液と共に酸素を上手く運搬できず、貧血を引き起こします。大豆製品には、比較的鉄が多く含まれていますが、1食分の栄養成分を比較すると、豆乳は他の大豆製品の中で最も鉄を多く含んでいます。また、豆乳1パックで成人男性1食分の鉄を摂取することができます。

1食分の栄養成分

 たんぱく質(g)鉄(mg)
無調整豆乳(1パック200ml)7.22.4
調整豆乳(1パック200ml)6.42.4
大豆煮物(小鉢1皿)7.42.2
納豆(1パック)7.41.5
絹豆腐(1/3丁)4.90.8

 

たんぱく質グラフ2鉄グラフ2

(食品標準成分表2015年版より)


豆乳の活用方法

豆乳は、コンビニやスーパーで売られており、簡単に手に入りやすい食品です。また、調理の必要がなく、そのまま飲むことができるので、子供から大人まで誰でも手軽に摂ることができます。

【その1】朝食に豆乳を追加!
朝は時間がなく、パンだけになってしまったり、おかずのない食事になりやすく、たんぱく質が不足しがちになります。 例えば、「トースト」に「豆乳1パック(200ml)」を追加すると、成人男性1食目安量の半分以上のたんぱく質を摂ることができます。これにさらに「ゆで卵」をプラスすることで、約1食分のたんぱく質目安量を摂ることができます。


(食品標準成分表2015年版より)

【その2】植物性たんぱく質が不足しがちなときに摂取!
たんぱく質は、肉や魚、卵などの「動物性たんぱく質」と、大豆や大豆製品などの「植物性たんぱく質」に大きく分けられます。動物性たんぱく質は、良質なたんぱく質ですが、他に脂肪やコレステロールが多く含まれ、摂り過ぎるとカロリーや脂質の摂り過ぎに繋がります。そのため、脂肪をほとんど含まない植物性たんぱく質を上手に組み合わせて摂ることが大切です。大豆や豆腐、納豆よりも外食時に追加しやすく、箸を必要としないため、簡単に植物性たんぱく質を摂ることができるのでおすすめです。

【その3】残業時や小腹が空いたときの捕食に!
豆乳は低カロリーながらも良質なたんぱく質を含み、その他の栄養もバランス良く含まれているため、残業時や小腹が空いたときの「補食」としておすすすめです。おにぎりやあんぱんと比べると、カロリーを約半分に抑えることができます。

 エネルギー(kcal)たんぱく質(g)脂質(g)
  無調整豆乳(1パック)927.24.0
  調整豆乳(1パック)1286.47.2
  鮭おにぎり(1個)2176.52.0
  あんぱん2246.34.2

おすすめレシピ

豆乳を使用することで、低カロリー&低脂肪に抑えたデザートをご紹介します。そのまま飲むイメージが強い豆乳ですが、デザートにして食べるのもおすすめです。豆乳が苦手な方もおいしくいただけます。

●豆乳あずき寒天

【材料】(カップ4個分)
・無調整豆乳・・・2.5カップ(500ml)
・砂糖・・・大さじ1
・粉寒天・・・小さじ2
・ゆで小豆缶詰・・・1/2缶(100g)

【作り方】
1.カップに、ゆで小豆を量が均等になるように入れておきます。
2.鍋に豆乳約1カップ分と、砂糖、粉寒天を入れて混ぜ、火にかけます。
3.寒天が解けたら、残りの豆乳を入れて混ぜます。
4.沸騰しないうちに火から下ろし、カップに流し入れます。
5.粗熱をとったら、冷蔵庫に入れて冷やします。
6.固まったら竹串などでカップの側面を1周させ寒天をカップから外し、逆さにしてお皿に盛り、
  完成です。

【アレンジ】
・きな粉や黒蜜をかけると「わらびもち風」になります。
・盛り付ける際にいちごやキウイなどのフルーツをトッピングすると彩りの良いデザートになります。