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栄養コラム

食塩摂取量について

No.102

2012年6月4日

管理栄養士 木村 愛

最新の「国民健康・栄養調査」より、3回にわたって現状の日本人の食生活を見直してきましたが、今回が最後となります。第3回目は「食塩摂取量について」です。日本人の食生活は、醤油や味噌などの調味量や漬物などの食塩が高めの食品や料理の頻度が多いため、食塩の摂取量が多いといわれています。今回は、食塩摂取状況と、なぜ食塩をとりすぎるといけないのか、また減塩のための一工夫をご紹介します。shio


現在の食塩摂取量について

「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」(国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである)では、食塩摂取の目標量は成人男性9.0g未満、成人女性7.5g未満としています。平成15年から22年の食塩摂取の平均値の年次変化と、平成22年度の年齢別の食塩摂取量の平均値を下記に表示しました。

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       (参照:厚生労働省 平成22年国民健康・栄養調査結果の概要より)

年々、男女ともに食塩の摂取量が減少しています。しかし、日本人の食事摂取基準の目標値を達成できていないのが現状であることが分かります。年齢別にみると、年齢が高くなるとともに食塩摂取が増加している傾向となっており、特に男女ともに60~69歳が最も食塩摂取量が高くなっています。食塩の摂取量が減少しているとはいえ、今後、生活習慣病の予防のためにも男女ともに50歳以上の方を中心に、摂取量を減らす必要性があります。


よくある食事の食塩摂取量 

普段の食事で、食塩をどの程度とっているのでしょうか。ある一日の食事の例をご紹介します。

【例】
朝食:食パン1枚(バター付)、ハムエッグ、野菜スープ 
                    ⇒食塩3.5gcolumn_201206_clip_image001_0000

昼食:ご飯、しょうが焼き、漬物、味噌汁 ⇒食塩3.5g

夕食:ご飯、さばの塩焼き(醤油つき)、お浸し、野菜の煮物 
                    ⇒食塩3.8g

目標量に対して、約2、3gオーバーしているということになります。 syokuji食塩量は食材や味付け・調理法によって異なりますが、食塩を多く使用している漬物以外に、ハムなどの加工品にも実は食塩が多く使われています。普段の食事の中には、食塩を含む食品がたくさんあるため、ついつい食塩をとりすぎてしまっているのです。


なぜ食塩のとりすぎがいけないのか?

食塩をとりすぎてしまうことにより、以下の症状があらわれる可能性があります。

●血圧が上がる
水分(尿や汗)の排出を抑えようと、血液などに水分を多く取り込もうとするため、血液量が増え血圧が高くなります。
●むくむ
水分を多く取り込もうとして、溜め込んだ水分が皮下にたまり、むくみとなります。
●喉が渇く
体内の食塩の濃度を薄めるために、水分が必要になるため喉が乾きます。

また、食塩のとりすぎが続くと高血圧症のリスクが高まります。高血圧は脳出血や心不全など、命に関わる重篤な疾病の原因です。また動脈硬化も進行するため、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞を引き起こす危険性が高まります。このように食塩をとりすぎることは、さまざまな怖い病気の引き金となっているのです。


減塩のコツ

簡単にできる減塩のコツを、上記でご紹介した「よくある食事の食塩摂取量」のメニューを使ってご紹介します。

~洋食の場合~
改善前)食パン1枚(バター付)、ハムエッグ、野菜スープ ⇒食塩3.5g
改善後)食パン1枚(ジャム又はつけない)、ハムエッグ、野菜サラダ、牛乳⇒食塩2.9g
改善ポイント
①パンはバターやマーガリンは控える
 食パンそのものに食塩が(6枚切り1枚あたり)0.8g含まれているので、バターやマーガ
 リンではなく、ジャムや何もつけずに食べることがおすすめです。
②野菜スープは野菜サラダに変える
  野菜スープを野菜サラダに変えることにより、0.6gの減塩になります。また、牛乳に
 かえることも栄養バランスがアップします。

~和食の場合~
改善前)ご飯、さばの塩焼き(醤油つき)、お浸し、野菜の煮物 ⇒食塩3.8g
改善後)ご飯、さばの塩焼き、お浸し(減塩調味料)、野菜の炒め物 ⇒食塩2.6g
改善ポイント
①醤油は控える、または減塩調味料をつかう
 焼き魚に醤油をかけるのを控えることにより、0.4gの減塩となります。
 また、お浸しに減塩調味料をつかうことにより、0.5gの減塩となります。
  (※減塩調味料については、おすすめレシピとして後ほどご紹介します。)
②煮物を炒め物に変える
 味がしっかり染みている煮物は、食塩が高めの料理です。煮物を野菜炒めに変えることで、
 0.4gの減塩となります。


おすすめレシピ

減塩のための一工夫の一つとして、「減塩調味料の活用」もあります。
ご自宅でも簡単に作れる減塩調味料のレシピをご紹介します。

●減塩 和風玉ねぎドレッシング●
【材料】サラダ2人前
玉ねぎ  1/8個(約20g)
醤油  大さじ1 
酢  大さじ1
サラダ油  大さじ1/2
作り方:玉ねぎをみじん切りにし、その他の調味料を混ぜ合わせた中に加える。

☆市販の和風ドレッシングは(大さじ1杯あたり)1.1gですが、この手作りの和風玉ねぎ
 ドレッシングだと(大さじ1杯あたり)0.7gで0.4gの減塩に繋がります。

●だし醤油(わさび風味)●
【材料】お浸し4人前syoyu
醤油  大さじ1
だし汁  大さじ1
わさび  適量
※醤油とだし汁は1:1の割合でつくります。
作り方:醤油、だし汁を合わせ、わさびをお好みの量を加えてよく混ぜる。

☆普通の醤油の食塩は(大さじ1杯あたり)2.6g。だし醤油にすると、半分に減塩でき
 ます。

普段使用している調味料でも、ちょっとしたコツで減塩調味料に変えることができます。
また、わさび、こしょうや唐辛子などの香辛料や、レモンやすだちなどの柑橘類を加えることによって、風味がアップし、食塩が少なくても美味しく召し上がれます。ぜひ、お試しください。