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栄養コラム

夏バテ予防

No.103

2012年7月2日

管理栄養士 野村 佳代

もうすぐ暑い夏がやってきますね。 夏になると、倦怠感や食欲不振などの夏バテと言われる体調不良になることがあります。暑い夏こそ、良く食べ、良く体を動かして、いきいきと過ごしましょう。syokuji


夏バテはなぜ起こるの?

人間の体には体温を一定に保つ機能があります。夏はその機能がフル稼働するのですが、それに過度に負担がかかったり、長引くことで、その暑さに対応することができなくなることがあります。それにより、体に熱がたまり、体の機能に支障を来たした状態を「夏バテ」と言います。夏バテには様々な原因が絡み合っていますが、以下の3つが大きな原因と言われています。
①水分不足
  気温が上昇し体温が上がると、体温を下げるために汗を流し、体内の水分が外へと
  出てしまいます。そのため汗を作るための水分が足りなくなると、うまく汗での体温調節が
  できなくなります。
  また汗は体内に存在するミネラル分も同時に体外に放出してしまいます。
②消化機能の低下
  外気の暑さにより胃の消化機能が低下し、栄養の吸収が悪くなります。
  また、暑いから体を冷やそうとして、冷たいものを過度に体のなかに入れると、
  胃腸が冷え、胃の働きが低下し、食欲がなくなったり消化不良を起こします。
③自律神経の不調
  体温調整は自律神経の働きによるものですが、冷房の効いた室内と暑い戸外の
  行き来による温度差に身体の体温調節機能が適応できなくなり、自律神経のバランスが
  乱れます。


夏バテ予防の食事のポイント

夏バテ予防には、水分補給、室温や湿度の調整なども必要ですが、今回は食事に着目したいと思います。
汗をたくさんかくことで、多くのビタミンやミネラルが体から失われ、また消化吸収も低下しているため、きちんと食事をとらないとますます体力が落ち、「夏バテ」しやすくなってしまいます。そのため夏は特にしっかり食べる必要があります。

①バランスの良い食事

●主食:ごはん・パン・麺類の何れかを毎食食べるようにしましょう。gohan
 ごはん等に多く含まれる糖質はエネルギー源なので、主食が減ると
 スタミナ不足になります。そのため主食は毎食きちんととることが重要です。
 ただ食欲がなくてご飯などがあまり食べられないときは、喉ごしの良い麺類を
 取り入れることはとても良い方法です。 
 ただし、温かい食事と組saradaみ合わせたり、麺類一品だけで食事を済ませることの
 ないようにしましょう。
  
●主菜:魚、肉、大豆製品、卵の何れかを毎食食べるようにしましょう。
 胃腸の調子が悪い時には、油っぽいものを避け、消化の良いものをとるとよいでしょう。
 例えば、豆腐や卵、白身魚(きす、スズキ、カレイ、たらなど)、鶏肉、豚や牛の赤身肉など
 です。
 また茹でる・煮る・蒸すといった調理法の方が油で炒めたり揚げたりするよりも胃腸に負担を
 かけません。
 魚:煮魚・おろし煮・味噌煮・蒸し魚
 肉:茹で鶏・冷しゃぶ・ホイル焼き
 野菜:お浸し・煮浸し・酢の物・温野菜のサラダ・煮物 など
  
●副菜:野菜・海藻類を毎食一皿以上摂るようにしましょう。
 ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。主食や主菜だけではとりきれないのでしっかり
 とりましょう。
  
●果物:1日200g(みかん2個分程度の量)摂るようにしましょう。
 簡単に食べられビタミンCや水分が豊富。suika
 果物に含まれる糖分は体内吸収が早くエネルギー
 補給に優れているため夏にお勧めです。
 夏みかん(1個)、はっさく(1個)、グレープフルーツ(1個)、
 スイカ(市販の1/6カットを1/4個分)

②食欲をそそる工夫

●酸味の利用
  酢、レモン・ゆずなどの柑橘類の酸味により爽やかな味わいになります。
●香辛料の利用
  辛子やわさび・カレー粉などの香辛料は、料理に香りと辛みをつけて味を引きしめて
  くれます
●香味野菜や香草の利用
  香りをつけたり、肉や魚介類の生臭みを抑えることができます。
  付け合せや薬味として利用すると良いでしょう。
  これらの利用により、食欲中枢を刺激して胃液の分泌を促します。


夏バテ予防の栄養素

特に下記の栄養素と食品を意識してみて下さい。
●ビタミンB1
  エネルギー源となる糖質を分解し、エネルギーに変化させてくれる働きがあります。bitaminb1
  不足すると、乳酸などの疲労物 質が溜って疲れやすくなります。
  食材:豚肉、うなぎ、大豆、玄米など
●アリシン
  ビタミンB1の吸収を良くし、エネルギー産生に役立ちます。
  食材:にんにく、にら、ねぎ、玉ねぎなど
●クエン酸
  疲れのもととなる乳酸を除去したりできにくくするため、疲労回復に役立ちます。
  食材:レモン、オレンジ、グレープフルーツ、梅干しなど
●ビタミンC
  暑さや温度差というストレスに対して抵抗力を高める働きがあります。
  食材:レモン、オレンジ、ピーマン、ブロッコリーなどbitaminc


おすすめメニュー

夏バテ予防の栄養素を含み、さっぱりと召し上がれる一品をご紹介します。

豚肉の冷しゃぶ
【材料】1人分
 ・豚肉ロース薄切り(しゃぶしゃぶ用) 70gbutaniku
 ・塩        少々
 ・大根       4cm長さ
 ・ミニトマト    3個
 ・レタスやベビーリーフ等の葉物野菜 50g (片手1杯分)
 ・七味唐辛子    少々
 ・ポン酢しょうゆ  大さじ1
 ・玉ねぎのすりおろし大さじ1/2
【作り方】
 1.豚肉は塩を加えた熱湯でさっと茹で、冷水にとって水切りする。
      食べやすい大きさに切る。
 2.大根はすりおろし、ざるにあげて軽く水けをきる。
 3.ミニトマトは縦半分に切る。
 4.ポン酢しょうゆと玉ねぎのすりおりしを混ぜ合わせる
 5.器にレタス等の野菜、1の豚肉、2の大根おろし、ミニトマトを盛り、
      七味唐辛子をふって、4の混ぜ合わせた玉ねぎポン酢を回しかける。
【ポイント】
 ●野菜は様々な野菜で代用可能です。
   生野菜の他、さっと湯通しして食しても美味しいです。
   例えば、人参、もやし、にら等があります。
 ●玉ねぎポン酢は、ポン酢だけでも構いません。レシピでは、アリシンの摂取を図るために
    玉ねぎを加えています。
    この他、ごまだれで味をこってりとさせても良いですし、ドレッシングを利用し、 
    サラダ感覚で 食しても良いです。 お好みでアレンジしてみて下さい。