
近年は天候不順などの影響で葉物野菜の価格が高騰することがありますが、豆苗は比較的価格や品質が安定しています。家計にやさしく、栄養も豊富で、手軽に使える便利な野菜として魅力的な豆苗についてご紹介します。
豆苗とは
豆苗は、えんどう豆から発芽した若い新芽や茎を食べる野菜です。実はえんどう豆は、成長段階によって呼び名や食べ方が変わります。若い新芽の状態が「豆苗」、成長してさやごと食べるのが「さやえんどう」、そして中の豆が大きく育ったものが「グリーンピース」、さらに豆が完熟すると乾燥豆「青えんどう」として利用されています。

歴史
豆苗を食べる文化のルーツは中国にあり、古くから豆苗を料理に使う習慣がありました。中国では、かつては高級食材として扱われ、上品な香りと食感が珍重されてきました。日本でも食べられるようになった当初は高級食材でしたが、現在では身近な野菜として広く流通しています。比較的安価で価格が安定しており、年間を通して手に入りやすいことも魅力です。その理由のひとつが、植物工場による水耕栽培です。日本で最も流通している根付きの豆苗は、植物工場で育てられています。天候の影響を受けにくいため、年間を通して安定した生産が可能になりました。
栄養的特長
豆苗は緑黄色野菜に分類されます。緑黄色野菜とは、「可食部100gあたりにβ-カロテンを600µg以上含む野菜」のことを指します。健康づくりのために、野菜の摂取目標量は1日350g以上、そのうち120g以上を緑黄色野菜から摂ることが推奨されています。しかし、『令和6年 国民健康・栄養調査』によると、日本人の緑黄色野菜の平均摂取量は1日約80g前後とされ、目標量に対して約40g不足している状況です。

β-カロテン
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持をサポートする栄養素です。豆苗約1/2パック(約50g)を、同量のブロッコリーと比較すると、豆苗にはβ-カロテンが約3倍以上含まれています。また、β-カロテンは油と一緒に調理することで吸収率が高まるため、炒め物やオリーブオイル、ごま油、ドレッシングを使った和え物などにするのがおすすめです。
ビタミンK
豆苗はビタミンKを豊富に含み、市販の豆苗約1/2パックには、成人の1日当たりの目安量の約70%を補うことができます。
ビタミンKは、丈夫な骨を作るために欠かせない栄養素で、骨粗しょう症の予防が期待できます。そのため、骨量が低下しやすい高齢者や閉経後の女性のほかにも、ビタミンKは腸内細菌によって合成されるため、長期服薬などで腸内細菌バランスが崩れやすい方に積極的に取り入れていただきたいビタミンです。
葉酸・ビタミンC
豆苗には、葉酸やビタミンCも多く含まれています。葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の形成を助け貧血を予防する重要な役割を担っています。また、葉酸の摂取が不十分だと、血管疾患の発症リスクとなる「ホモシステイン」が増えてしまうことが明らかになっていますので、葉酸をしっかり摂ることは、血管の健康維持や動脈硬化予防にもつながります。
また、ビタミンCは抗酸化作用を持ち、β-カロテンとともに体の酸化ストレスを抑え、免疫力を高めたり、健康維持や老化予防に役立つとされています。
選び方のコツ
豆苗を選ぶ際は、若葉の緑色が濃く、茎がまっすぐ伸びているものを選びましょう。全体にハリやツヤがあり、葉がしっかり開いているものは新鮮な証拠です。反対に、しなびているものや葉が黄色っぽくなっているものは、鮮度が落ちている可能性があります。購入時の目安として確認してみてください。また、豆苗は根なしでカットされているものより、根付きのものがおすすめです。日持ちしやすいだけでなく、再生栽培も楽しむことができます。

保存方法と保存期間
豆苗は基本的に冷蔵保存がおすすめですが、すぐに使い切れない場合は冷凍保存も可能です。
【冷蔵保存】
【冷凍保存】
切ったあともまた収穫!豆苗はコスパのよい野菜
豆苗の魅力のひとつが、「再収穫」ができることです。スーパーなどで販売されている豆苗は根付きの状態なので、食べたあとも育てることで、もう一度収穫を楽しむことができます。水を入れた容器につけておくだけで育つため、家庭でも手軽にチャレンジでき、節約につながるだけでなく、成長していく様子を楽しめるのも魅力です。

再収穫を成功させるためのポイント
・根元から3cmほど上で切る(脇芽を残してカットする)
・水は毎日取り替え、根の半分くらいまで水を張る
※豆を水に浸けると傷みやすいため、水の量を調整しましょう
・室温20℃前後の明るい室内に置く
・暑い日は朝晩2回水を替える
特に大切なのが、最初の切り方です。根元近くで切りすぎると、新しい芽が出にくくなってしまいます。脇芽を残すように、根元から3cmほど上を目安にカットすると、残った部分から新しい芽が伸びてきます。

収穫の目安と楽しみ方
収穫のタイミングは、根元からボールペン1本分ほどの高さになった頃です。およそ1週間〜10日ほどが目安になります。伸ばしすぎると、茎が固くなったり筋っぽくなったりすることがあるため、適度なタイミングで収穫しましょう。
なお、2回目に収穫した豆苗も、栄養価は大きく変わらないといわれています。
手軽に調理可能
豆苗は、流水でさっと洗うだけで食べられ、キッチンバサミなどで食べやすい大きさに切れば、包丁を使わずに調理できるのも魅力です。火の通りも早いのでさっと炒めたり、スープの具にするのもいいですし、生のままならサラダや和え物にしたり、カップ麺やインスタントスープに加えるなど、手軽にプラスできます。
また、やわらかい葉の部分とシャキシャキとした茎の部分で食感が異なるため、料理に合わせて使い分けるのもおすすめです。細かく刻んで薬味のように活用するなど、幅広くアレンジしやすい点も魅力です。
おすすめレシピ
ハサミや包丁で切ってレンジで加熱するだけの簡単レシピを紹介します。レンジ加熱で短時間で仕上がり、油と合わせることで、豆苗に豊富なβ-カロテンやビタミンKの吸収率も高まります。
豆苗ナムル
【材料(2人分)】
・豆苗 1パック(可食部約100g)
・もやし 1/3袋(約70g)
・かにかま 3本(約21g)
(調味料)
・ごま油 小さじ1
・ポン酢 小さじ1
・おろしにんにく 小さじ1/3
・いりごま 大さじ1
【作り方】
① 豆苗は根元を切り落として長さを半分に切り、かにかまは手でほぐし、調味料は合わせておきます。
② 豆苗ともやしを耐熱容器に入れ、ラップをして600Wの電子レンジで2分加熱します。
③ 加熱後、しっかり水気を切ります。
④ ボウルに③と、ほぐしたかにかま、合わせた調味料を加え、和えたら完成です。
【アレンジ】
・仕上げにかつお節や海苔を加えると、うま味と風味が増しておいしくいただけます。
・かにかまの他に、ツナや竹輪、ハムなどと合わせても美味しくいただけます。
・しめじ・えのきなどのきのこ類も電子レンジで一緒に加熱すれば簡単に加えられます。
きのこ独特の食感や香りのアクセントになります。
・味付けは、ポン酢以外に中華スープの素や和風だしの素、塩昆布などでもよく合います。
また、ごま油をオリーブオイルに変更すると、洋風の味わいにアレンジできます。


