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栄養コラム

アボカド

No.142

2015年10月1日

管理栄養士 田口 瑛里沙

近年ではアボカドオイルが人気を集め、お店でもアボカドを使用したメニューをよく見かけるようになりました。アボカドを好む方が多くなり、これからもアボカドブームは続きそうですね。今回は、森のバターとも言われ、今もなお人気を誇る「アボカド」についてのお話です。 1


アボカドについて

アボカドは、10mほどの高さの木に実がなり果物に分類されています。大きさは、手のひら程度が一般的で、皮が黒っぽく、中は緑色で柔らかくクリーミーな味わいが特徴です。低温に弱く、熱帯・亜熱帯地域で生育されており、主にメキシコや中央アメリカが原産で、日本でも和歌山県や鹿児島県奄美大島、沖縄県などの温帯地域で少し生産されていますが、日本で売られているアボカドの99%が輸入品になります。通年輸入されているため一年中売られていますが、国産のアボカドは夏頃に実をつけ、今の時期から収穫が始まります。


アボカドの特徴・栄養

アボカドの特徴は、良質な脂質が多く含まれてい6るだけでなく、その他の栄養素も豊富に含まれているので、上手に料理にプラスすることで料理全体の栄養価がアップします。

●野菜サラダ(ドレッシング付き)に「アボカドを1/4個」をプラスしたもので比較してみました。

 カリウム
(mg)
ビタミンE
(mg)
脂質(g)
野菜サラダ
(アボカド入り)
4522.311.3
野菜サラダ1641.03.8
1食分の目安量
(成人男性)
8332.221.3


3 4 5

【メリット1】カリウムがしっかりとれる
アボカドには、ビタミンやミネラルが多く、特にカリウムが多く含まれています。カリウムは、体内のナトリウム(塩分)の排泄を促すため、高血圧予防やむくみの改善に良い成分です。野菜にもカリウムは多く含まれていますが、アボカドをプラスすることで約3倍量になり、1食分の目安量の半分以上を摂ることができます。

【メリット2】ビタミンEも一緒に摂れる
アボカドには、ビタミンEも多く含まれています。ビタミンEは抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがありますので、脂質の酸化が原因で起こる動脈硬化や生活習慣病などを予防することが期待されています。サラダにアボカドをプラスすると、1食に必要なビタミンE量を満たす一品となります。

【メリット3】オレイン酸の割合が高い
アボカドには脂質が多く含まれていますが、脂質組成では一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が約70%を締めています。各脂肪酸の割合は、血中コレステロールの上昇や下降に関わりますが、オレイン酸は、LDL(悪玉)コレステロールを減らす一方で、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあるので、動脈硬化予防にはおすすめの食品です。 ただし、アボカドをプラスすると、1食分の脂質目安量の半分量を摂取することになりますので、他の料理は油の少ないものにするなど組み合わせに気をつけましょう。


料理への活用法

アボカドは、切ってそのまま生で食べたり、脂肪分が多くクリーミーなためペースト状にしたり様々な料理に活用できます。

【おすすめの活用法】
●和風の調味料と和える
サラダなどに加えて洋風料理で食べることが多いですが、醤油やかつおぶし、わさびなどの調味料との相性も良く、和風料理にも合います。

●ペーストにする
バターやドレッシングの代わりに調味料を加えてペースト状にしたアボカドをのせてもおいしいです。

●天ぷらやフライに
少し固めのアボカドは加熱すると緑臭さがなくなり、なめらかさが増します。


食べごろ・保存方法

アボカドは、未熟なうちに収穫され、追熟させることでおいしくなります。数日後に食べる場合は皮が緑色のものを選び、すぐに食べたい場合は黒みがかったものを選ぶことをおすすめします。

【食べごろを見極めるポイント】
・皮の色が濃い(チョコレート色)
・形がふっくらしていて、果皮に張りとツヤがある2
・皮にキズがない
・ヘタが取れておらず、ヘタと皮に隙間がない
・手に吸いつくような弾力がある

【保存方法】
●皮が緑色のもの
未熟な状態のため、室温(20℃前後)で保管し、食べごろになるまで追熟させましょう。夏季など気温が27℃以上になるときは、高温障害が起こるのでできるだけ涼しいところで保管してください。また、りんごやバナナ、桃と一緒に置くとこれらから放出するエチレンガスにより成熟が早まります。

●皮が黒くなったもの
ポリ袋等に入れ、冷蔵庫に保管します。野菜室があれば野菜室での保存がおすすめです。2~3日保存できますが、熟しすぎると果肉が黒っぽくなるので、なるべく早めに食べましょう。

●半分にカットしたもの
皮ごと全体をラップに包んで冷蔵庫に保存しましょう。その際、種をつけたまま保存すると長く保存できます。また、切り口にレモン汁をかけておくと酸化による変色を防げます。


おすすめレシピ

いろんな料理に合う万能なアボカドソースをご紹介します。パンに塗ったり、魚や肉などのメイン料理にかけたり、サラダに一味加えたいときなどにおすすめの一品です。

●メキシコ風アボカドディップ

【材料】(2人前)
・アボカド ・・・1個7
・玉ねぎ ・・・1/4個
・トマト ・・・1/2個
・レモン汁 ・・・大さじ1/2
・塩 ・・・少々
・こしょう ・・・少々
・タバスコ ・・・少々

【作り方】
1.玉ねぎはみじん切りにし、トマトは皮ごと角切りにします。
2.アボカドの皮と種を除き、ボウルの中に入れて実を崩し、ペースト状にします。
  ※お好みに合わせて半固形状にしてもおいしくいただけます。
3.2に1とレモン汁、塩、こしょう、タバスコを入れ、混ぜ合わせたら完成です。

※角切りにしたトマトを少し残して、最後にトッピングすると盛り付けの色合いが良くなりま
 す。
※パクチーやにんにくなどを入れると、香りが良くなりさらにおいしくなります。