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栄養コラム

ぬか漬け

No.143

2015年11月1日

管理栄養士 田原 佳奈

江戸時代から食され、日本の伝統食品と言えるぬか漬けですが、最近健康食の見直しからぬか漬けも話題となっており、芸能人の方もぬか漬けを作るなど注目されています。以前は「ぬか床」をもつ家が多くあり、各家庭で漬けられた「ぬか漬け」が毎日食卓にのぼっていました。「ぬか床」のお手入れなど難しそうに感じますが、調理の手間が少なく、忙しくても手軽に食事に取り入れることができ、健康にもつながるメリットも多くあります。良さを見直していただきたい和食の一つとしてご紹介します。2


ぬか漬けとは

玄米を精製して白米を作るときに捨てられる部分を「ぬか」と言います。このぬかを水と塩で乳酸発酵させ、「ぬか床」を作り、ぬか床に食材を漬け込み、ぬかの栄養分や塩分が食材にしみ込むことを利用して作った漬物がぬけ漬けです。ぬか漬けといえば、大根を干してぬか漬けした「沢庵」や、鯖を塩もみしてぬか漬けした「へしこ」が有名です。


ぬかづけの良さ

●食材が有効活用できる
余った野菜、野菜の皮や芯など捨ててしまうところもそのまま漬けることができ、食材を有効活用できます。

3●酸味とうま味が加わり食べやすい乳酸菌の代謝産物である乳酸はさっぱりとした酸味があり、食材に加わることで食材の味を生かしながらも、いつもと違う味が楽しめ、特に人参やきゅうりなど子供の好き嫌いが多い野菜も食べやすくなります。

●乳酸菌がとれる
腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きをする乳酸菌。乳酸菌には動物性と植物性がありますが、ぬか漬けは植物性乳酸菌で、動物性乳酸菌より塩分や酸、温度変化にも強く、乳酸菌の効果が保ちやすいといわれています。また乳酸菌は毎日とると効果が持続しやすいため、家庭で作ることができるぬか漬けはおすすめです。

●ぬかに含まれる栄養が食材に加わる
ぬかに含まれる栄養が食材に浸透し、食材の栄養に追加されます。特にビタミンB1は9倍、カリウムは3倍以上となります。

                                                                                          (食品100g中)

          ビタミンB1(mg)              カリウム(mg)       
  きゅうり    0.03    200  
  きゅうり(ぬか漬け)    0.26    610  

                                                                          日本食品標準成分表2010より

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●未加熱なので栄養素などの損失を抑えられる
加熱調理が不要なので熱に弱いビタミンや消化酵素をしっかりとることができます。


ぬか漬けの漬け方

ぬか床を一から作ると手間ですが、最近では購入後そのまま使える熟成されたぬか床が売られていますので、うまく活用しましょう。

●熟成されたぬか床を使って漬ける
1.食材を下準備します6
にんじん、大根・・・適当な長さにカットし、縦半分に切る
かぶ・・・葉のつけ根に十字に切り込みを入れる
茄子・・・縦半分に切る
きゅうり・・・そのまま

※下準備をすることでまんべんなく早く漬かります。
※皮は剥かなくても漬けられます。漬け込み時間を少し長くしましょう。

2.手に少量の塩をとり、下準備した食材にもみこみます。

3.ぬか床へ漬けます
約6時間~24時間
・ポイント
※固い食材は漬かりにくいので時間を長めにとりましょう。
※ぬか床の塩分量や食材の大きさで漬かり具合が変わります。さっぱり漬けるには6時間程度にしましょう。


ぬか床のお手入れ

冷蔵庫で保存するとお手入れが少なく済みます。

●おすすめ冷蔵保存でのお手入れ方法
・混ぜ方
容器の底のぬかを上に、上のぬかが下にまわるようにしっかりまぜる

・頻度
食材を漬け込むとき、または取り出すときに1回かき混ぜましょう。
長期間漬けない場合は最低でも週1度はかき混ぜます。

・ポイント
かき混ぜた後は表面を平らにしておきます。


気をつけたい塩分

ぬか漬けはきゅうり1本を1日漬けると塩分2~3gとなり、これは日本人の約1食分目標量に相当します。漬け時間が長いとさらに塩分は多くなります。良さの多いぬか漬けですがとり過ぎには注意し、また組み合わせる料理の味付けを薄めにするなどして塩分のとり過ぎにならないように気をつけましょう


おすすめレシピ

そのまま食べることができるぬか漬けですが、長期間漬けすぎてしまったぬか漬け(ふる漬け)を活用して、疲れたときにもさっぱり食べられるメニューをご紹介します。ふる漬けの塩分を味付けとしてうまく利用し、ふる漬けが苦手な方も捨てずにおいしく食べられます。卵は完全栄養食とも言われていますが、ぬか漬けを加えることでビタミンB1やカリウムが加わり、他にもビタミンB6、ナイアシンなども強化されます。

●きゅうりのふる漬け入り卵焼き


【材料】(2人前)
・きゅうり・・・1/2本(ぬか漬けにして1~2日)5
・卵・・・2個
・だし汁・・・大さじ2(顆粒でもよい)
・酒・・・小さじ1
・砂糖・・・小さじ1/2
・サラダ油・・・適宜

【作り方】
1.きゅうりはみじん切りにします。塩気が多い場合は水につけて塩抜きをし、水気をしっかり
     きります。
2.卵を溶き、調味料をあわせます。
3.フライパンに油をしき、卵液を1/3流しこみます。
4.半熟になったらきゅうりをちらせ、卵を巻きます。
5.3.4.を繰り返し、焼き上げます。
6.2cm幅程度にカットし、お皿に盛りつけて完成です。

※きゅうり以外のぬか漬けでも卵に合います。
※しそや海苔を一緒に巻くと彩りもよく、また風味も加わり美味しくいただけます。