ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

スマートミールを知ろう

No.197

2020年5月7日

管理栄養士 板橋彩子

新型コロナウイルス感染対策により、5月も引き続き緊急事態宣言が延長となりました。
長期戦になると言われている新型コロナウイルスとの戦いでは、自粛生活を続けながらも、栄養バランスのとれた食事をしっかり食べ、自身の免疫力を低下させないようにすることが大切です。今回のコラムでは、スマートミールという食事をご紹介したいと思います。スマートミールは、健康づくりに役立つ栄養バランスのとれた食事で、ウイルスに負けない体づくりにも大いに役立ちます。この機会に、改めて毎日の食事を見直し、栄養のチカラでウイルスとの戦いを乗り切りましょう!


スマートミールとは

厚生労働省が進める「健康な食事・食環境」推進事業の中で「健康な食事」とされている、健康づくりに役立つ栄養バランスのとれた食事の通称です。1食の中で主食・主菜・副菜が揃い、野菜たっぷりで食塩のとり過ぎにも配慮した食事のことを言います。


スマートミールの基準

近年の健康への関心の高まりにより、外食などでヘルシーメニューやヘルシーランチを食べられる機会が増えていますが、それらの明確な基準は示されていませんでした。スマートミールは、厚生労働省の「生活習慣予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」や食事摂取基準2015年版を基本とし、エビデンスに基づいた以下(1)~(7)の基準が定められています。

<基準>
(1)エネルギー量は「ちゃんと:450~650kcal未満」と「しっかり:650~850kcal」の
   2段階とする
(2)料理の組み合わせは、①主食+主菜+副菜、②主食+副食の2パターンを基本とする
(3)PFCバランス(※)が日本人の食事摂取基準で示されている範囲に入っている
(4)野菜等(野菜・きのこ・海藻・いも)の重量は140g以上とする
(5)食塩相当量は「ちゃんと」3.0g未満、「しっかり」3.5g未満とする
(6)牛乳・乳製品、果物は基準を設定しないが、適宜取り入れることが望ましい
(7)特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材を使用しない

※PFCバランスとは
1日の摂取カロリーの中で、三大栄養素「P=たんぱく質」「F=脂質」「C=炭水化物」からのカロリーがそれぞれどのくらいの割合を占めるのかを示したものです。
P:F:C=13~20%:20~30%:50~65%が適切なPFCバランスとなります。


「健康な食事・食環境」認証制度について

栄養バランスのとれた健康に良い食事「スマートミール」を継続的に、健康的な空間(栄養情報の提供や受動喫煙防止等に取り組んでいる環境)で提供している店舗や事業所を認証する制度が2018年から始まりました。認証は13の学協会から成るコンソーシアムによって行われ、認証を受けた施設は「健康な食事・食環境」のマークを使って「スマートミール」を提供している店舗であることをアピールすることができます。

これまでに3回の認証を行っており、認証された事業者数は304にもなりました。
下記URLから認証事業者一覧を確認することができますのでぜひご覧ください。意外と身近なところに、スマートミールが食べられる場所があるかも知れませんので、見かけたら利用してみましょう。

・「健康な食事・食環境」認証事業者一覧 http://smartmeal.jp/pg1810.html

<スマートミールの例>
「健康な食事・食環境」の認証を受けた会社の社内食堂で提供されているスマートミールを
ご紹介します。

例1:大分産寒ぶりの和風ムニエルと大根のステーキ(547kcal)


例2:ささみの低温フライ~大葉香る梅タルタルソース~(615kcal)
揚げ物メニューでもタルタルソースのカロリーを抑えて、スマートミール基準を満たすよう工夫されています。


スマートミールの活用法

毎日の食事でもスマートミール基準を活用すると、栄養バランスのとれた健康な食事に整えることができます。ここでは、主食・主菜・副菜・塩分の項目毎にそれぞれ、毎日の食事の目安となる量とポイントをご紹介します。ぜひ毎日の食事に活用してください。健康のためには、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、節酒、禁煙を心がけた適切な生活習慣を継続することが重要です。スマートミールがご自身の健康を考えるきっかけになれば幸いです。

①主食
1食分の例


<ポイント>
●パンは、食パンであれば(6枚切り)1枚半~2枚、麺はうどん、そば、スパゲッティなどの
 乾麺は1束(100g)、中華麺のような生めんは1玉(120g)が1食の目安です。
●外食やお弁当では量が多くなりやすいので、小盛を選ぶ、数口残すなどして食べる量を調整
 しましょう。

②主菜
1食分の例

<ポイント>
●カップラーメン、おにぎりなど簡単に済ませる食事では主菜が不足しやすいので、
 冷奴、ゆで卵、温泉卵、納豆、魚の缶詰(ツナ缶)など追加しましょう。


③副菜
1食分の例

<ポイント>
●カット野菜や冷凍野菜、乾燥わかめなどを利用すると手軽に増やせるのでおすすめです。
●外食やコンビニでは、野菜類の入ったメニューを選ぶようにしたり、グリーンサラダや
 スティック野菜などを追加すると良いでしょう。

④食塩
汁や漬物は残す、調味料やドレッシング類は控えるなどして、塩分が多くならないように注意
しましょう。以下に塩分を控えるポイントをご紹介します。


おすすめレシピ

コロナウイルス感染拡大防止の自粛要請のため、自宅で食事を取ることが多くなり、レトルト食品やインスタント食品を使って簡単に食事を済ますこともあるかと思います。そんな時もスマートミールを目指してみましょう。小さな工夫で栄養バランスは整えられます。
今回は利用する機会が多いと思われるレトルトカレーやインスタントラーメンを使ったレシピをご紹介します。是非お試しください。

(1)レトルトカレーに一工夫(ちゃんと基準)
【材料・分量(1人分)】
・ご飯…お茶碗の普通盛り1杯分(150~170g)
・レトルトカレー…1箱
・卵…1個
・冷凍ブロッコリー…4~5房(50g)
※小皿の副菜
・ミニトマト…5個(75g)

【作り方】
1.鍋に水、卵を入れ火にかけゆで卵を作ります。
2.冷凍のブロッコリーは湯銭または電子レンジで戻しておきます。
3.ミニトマトは洗って小皿に盛りつけます。
4.お皿にご飯を盛ります。
 ※直接お皿に盛ると量が多くなりやすいので、一度お茶碗によそって量を確認してから
  お皿に盛るようにしましょう。
5.温めたレトルトカレーをかけ、ブロッコリーをカレールーの上に盛り、ゆで卵を添えて
  完成です。

【ポイント】
レトルトカレーは、商品にもよりますが1袋で塩分量が3.0g近くあるものもあります。スマートミール(ちゃんと基準)1食分の塩分量の基準は3.0g未満ですので、塩分量を超えないようブロッコリーやミニトマトにはドレッシング類は使わないようにするのがポイントです。
ブロッコリーはカレールーと一緒に、ミニトマトはそのまま食べましょう。

(2)インスタントラーメンに一工夫(しっかり基準)
【材料・分量(1人分)】
・袋インスタントラーメン…1袋
・お湯…袋に記載されている分量
・冷凍餃子…5個
・もやし…1/2袋(100g)
・人参…10g
・冷凍いんげん…30g
・油…大さじ1/2

【作り方】
1.もやしは洗って軽く水気を切り、人参は細切りにします。
2.フライパンに油を敷き、もやし、人参、冷凍いんげんを入れ炒めておきます。
3.鍋に分量のお湯を沸かし、インスタントラーメンと冷凍餃子を入れて一緒に茹でます。
 (スープが粉タイプの時は、この時にスープの粉も一緒に入れます)
4.液体スープを器にあらかじめ入れておき、麺と餃子が茹で上がったら、ゆでたお湯ごと
  そのまま器に移します。
5.2で炒めた野菜を上に盛りつけて完成です。

【ポイント】
ラーメンの汁は飲まず、具の野菜炒めにも味付けはしないようにしましょう。汁を残すように意識しても、ラーメンの麺に含まれている塩分や麺を食べたときに付着してくるスープで、スマートミール(しっかり基準)1食分の塩分量(3.5g未満)になります。具は麺と一緒に食べるようにしましょう。