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栄養コラム

ザーサイ(搾菜)

No.196

2020年4月1日

管理栄養士 田中希歩

日増しに暖かくなり、春の訪れを感じるようになりました。今回は春先が旬のザーサイ(搾菜)について紹介します。ザーサイは中華に欠かせない食品であり、漬け物としてだけでなく様々な料理に幅ひろく活用することができる食品です。


ザーサイとは

ザーサイとは一般的に漬物のことを指しますが、この漬物の元となる野菜のこともザーサイと呼ばれています。ザーサイはからし菜の一種である大心菜(だいしんさい)の変種で、肥大した茎にできるコブ状の突起部分をさします。

ザーサイの漬物は次のように作られます。
①コブの部分を割り、塩漬けと天日干しを繰り返す
②塩水を搾った後、香辛料や薬草、調味料を加え、半年~9ヶ月の間漬け込む
③出来上がったものに重石をのせ汁気を搾り、完成

作る工程の「搾る」から、搾菜(ザーサイ)と呼ばれるようになったとも言われています。
長い期間香辛料とともに漬け込まれたザーサイは、発酵を繰り返し、乳酸菌を含んだ発酵食品となります。


産地

ザーサイは温度変化に弱い野菜で、日本での栽培はコストがかかるため、生産はほとんど普及していません。
そのため日本で食べられるザーサイのほとんどは中国から輸入されたものになります。中国での生産量は年間約20万トンで、そのうち2万トンが日本に輸出されています。


ザーサイの魅力

1)汎用性

漬物ならではの塩辛さと、ザーサイ特有の食感・風味を活かしたメニューはたくさんあります。料理のアクセントになり、普段の献立のマンネリ化防止が期待できます。

①料理のトッピングに
ザーサイの風味を活かし、薬味として食べることができます。またザーサイのコリコリとした食感がプラスされ、噛む回数が増えて満腹感を得ることにもつながります。
〈おすすめ料理〉
・お粥・・・細かく刻んだものを小スプーン1杯ほど乗せると塩気でおいしく食べられます。
・冷奴・・・ザーサイの塩気が醤油代わりになります。

②料理のアレンジに
料理に合わせて適当な大きさに切ったものを入れることで、普段の料理のアレンジになります。ザーサイの風味は調味料の代わりに、食感は具材として活躍します。
〈おすすめ料理〉
・炒め物・・・適当な大きさに切ったものを入れると、コリコリとした
       食感がプラスされ、普段とは一味違う食感になります。
・おにぎり・・・具材としてゴマ油で炒めたものを白ご飯に混ぜるのが
        おすすめです。
・中華まん風・・・ザーサイとひき肉を炒めたものをパンに挟むと、ザーサイの風味で中華まん
         のような味わいになります。

 ③調味料を使わず減塩に
ザーサイ自体に塩気がついているため、その分調味料を使う量を減らすことができます。使用する際は、調味料を使わない、普段より少なめの調味料で調理するなど量を調整しましょう。
〈おすすめ料理〉
・スープ・・・野菜や肉などの食材と一緒に煮込むことで、ザーサイと食材のうま味が溶け出
       し、おいしいスープができます。
・和え物やサラダ・・・細かく刻んだものを混ぜると味付けになります。
・炒め物・・・普段使う醤油や塩コショウの量を減らすことができます。

2)食物繊維と水分

ザーサイの魅力は、多岐にわたる食べ方がある点だけではありません。
一般的に食べられる機会が多い漬物3種と1食の目安量で比較してみましょう。漬物皿は定食で漬物として出てくる6㎝程の小皿を指しています。ザーサイは食物繊維が多く、鉄分も優に超える量含まれています。

   (日本食品成分表2015版(七訂)より)

このように、ザーサイは様々な料理に取り入れながら食物繊維・鉄分のプラス摂取に繋がる食品です。


ザーサイの塩分

ザーサイは漬物であるため、塩分が多く含まれています。
スーパーでは瓶詰やパック詰めなど、そのまま食べられるものが多く販売されていますが、塩抜きされていない状態で販売されているザーサイには、1食の目安量である漬物皿1つ分(20g)に塩分が2.7g含まれています。これは、1食分の適正塩分量に該当します。
塩抜きを行うことで塩分量は半分ほどに減らすことができるので、ザーサイを食べる際は塩抜きをしっかりと行い、量を食べすぎないように注意しましょう。

   (日本人の食事摂取基準2015版/日本食品成分表2015版(七訂)より)

<塩抜きのポイント>
①漬け汁を水できれいに洗い流す
②塊の状態のものは均等な厚みになるよう薄くスライスする
③ボウルにたっぷりの水をいれ、②とひとつまみの塩を加え、
 20分ほど塩抜きをする
④汁気を取ったら完成

 ③の工程では、真水で塩抜きを行うよりも薄い塩水で行うほうが、早く塩抜きすることができます。(呼び塩)


おすすめレシピ

今回はザーサイを使った中華風卵スープを紹介します。冷蔵庫にある食材で手軽に作れるスープなので、ザーサイが余った時などにおすすめです。卵を加えることで料理のボリュームが増し、トマトの酸味はザーサイのうま味とよく合います。また、ザーサイの塩味を活かした味付けと、ごま油で香りづけをすることで、少ない調味料でもおいしく食べられる減塩スープレシピとなっています。

・ザーサイの中華風卵スープ 
【材料】 (2人分)
・卵       1個
・トマト     小1個
・ザーサイ    10g(刻んだものカレースプーン1杯)
・カットわかめ  0.5g(ティースプーン0.5杯)
・水       300ml
・ごま油     小さじ0.5杯
・塩       1g(ひとつまみ)
・こしょう    少々

 【作り方】
①トマトを2㎝角に切る
②ザーサイを5㎜角ほどの大きさに荒刻みにする
③卵をボウルに割りいれ、白身を切るようにしっかりと混ぜる
④カットわかめは流水でさっと洗っておく
⑤鍋に水と②を入れ、5分ほど煮込む
⑥⑤に①と④を加え、再び煮立ったらごま油・塩・こしょうを入れて味を調える
⑦③を流しいれ、菜箸で大きく円を描くように混ぜる

 【ポイント】
ごま油の他に、白髪ねぎやみつば、いりごまなどの香りが良い食材を上に添えると、
より香りが増してオススメです。