ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

油との上手なおつきあいパート2

No.75

2009年11月20日

管理栄養士 奥田 志おり

前回のコラムでは、油・脂を“控えましょう”といことをメインにご紹介しました。
とは言え、油・脂を目の敵にする必要はありません。脂質も3大栄養素のうちの一つですから私たちが生きていく上で不可欠です。そこで、今回は賢く油・脂を摂るコツをご紹介します。
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極端な“油・脂”制限にはご用心!

健康志向の流れで、とかく“油・脂”は悪者扱いされておりますが、もちろん油・脂にも人体にとって重要な役割があります。hito

①体を作る細胞の主要な材料

②体に効率的にエネルギーを蓄える(炭水化物やたんぱく質に比べ、
 1gあたりのエネルギーが倍以上)

③脂溶性ビタミン(特にAとE)やカロテノイド(※1)の吸収を助ける
 よって、脂質が欠乏すると皮膚が荒れる、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなります。
              vitamin-avitamin-e

※1 カロテノイド:動植物に広く分布する黄色、橙色、赤色の脂溶性色素。 抗酸化作用があります。また、カロテノイドの中でも“カロテン”の一部はビタミンAに変換され、ビタミンAの供給源となります。


料理に合った油を賢く使い分け

今や一言に「油」といっても、選ぶのに迷ってしまうほどの種類の油があります。
そのためか、“○○低下効果があるらしい”となる度に、紅花油、オリーブオイル、えごま油、最近ではアマニ油などが注目されています。
これらの油の違いは何かというと、“含まれる脂肪酸の割合”です。
脂肪酸それぞれに特徴がありますので特定の油だけを摂取するのではなく、料理に合わせていただくのがよいでしょう。あまり気にしすぎると、料理をするのも、食べるのも億劫になってしまいます。

●サラダ油
加熱に強い、なたね油や大豆油のブレンドでできていますので、揚げ物から和え物、マリネまでオールマイティにお使いいただけます。
                                 abura    tenpura   samon   ebifurai

●オリーブオイル
フルーティで芳醇な味わいが魅力ですので、「生」でいただくと、その香りが一層楽しめます。
加熱に強く、酸化しにくい油ですので、もちろん炒め物、揚げ物でも美味しくいただけます。
【料理例】サラダ、カルパッチョ、パスタ、ピザ、魚介のグリル
                                   oliveoil   sarada  pasta  pizza                   

●ごま油 
ごまの濃厚な香りと芳醇な旨みが魅力ですので、いつもの料理にほんの少し加えるだけで、コクが増して深い味わいとなります。
【料理例】冷奴、きんぴらごぼう、肉じゃが、豚汁
                                              gomaabura         nikujaga     tofu

●アマニ油 
亜麻の種子からとれる油です。熱に弱いのでドレッシング代わりなど、生での利用がおすすめです。くせがないのが特徴です。酸化しやすいので光を遮る黒い瓶入りで、開封後は冷蔵庫で保存するとよいでしょう。

油の利用法をいくつかご紹介しましたが、何より心にとめておいていただきたいのは、 どんなに体によいと謳われている油であっても“油はすべて1gあたり9kcal”ということです。ダイエットが必要な方は特にこの大前提をお忘れなく。


おいしく賢く!摂るならこんな“あぶら”?

体によい“あぶら”としていただくなら、青魚のあぶら!サンマ、イワシ、サバなど青背の魚がおすすめです。
主にDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、α-リノレン酸などの脂肪酸で構成されており、中性脂肪やLDL(いわゆる悪玉)コレステロールを減らし、HDL(いわゆる善玉)コレステロールを増やすとされています。
ただ、DHA、EPAは熱に弱いので刺身など生がおすすめです。
また脂肪分を逃さず“焼いて”いただくには、網焼きではなくフライパンなどを
お使いいただくとよいでしょう。
ちなみに2010年度版日本人の食事摂取基準では望ましいEPA及びDHAの摂取量として18歳以上では“1日あたり1g以上”とされています。
この量は、サンマなら1日1/2匹分でEPAとDHA合計がちょうど1gですので、日々の食事の中で無理なく食べられると思います。


野菜の栄養を賢く摂る工夫

緑黄色野菜にはビタミンA、D、E、K(特にAとE)やカロテノイドが多く含まれています。これらは油・脂と一緒に摂ると吸収率がアップします。 そこで、緑黄色野菜の健康成分を漏れなく効率的にとれる食べ方のコツをご紹介します。
                                        ninjin chingen1 pimen1 tomato1 burokkori1 

①サラダ
オリーブオイルなどをドレッシング代わりに。レモンや酢など酸味のあるものと混ぜてお使いいただくと、カロリーダウンにもなります。

②炒めもの
例えばほうれん草や小松菜などは、お浸しよりも油炒めにする方が吸収率がアップします。

③青背の魚(サンマ、イワシ、サバなど)と一緒に
iwashi4付け合せに青菜やトマトを添えると、手軽にいただけます。 
                                                                                                                                        
④ 種実類(アーモンドやゴマなど)と一緒にゴマ和えなどの和え物や、
料理の仕上げなどに加えるとvitamin-e手軽にいただけます。 vitamin-a
また、種実自体にもビタミンEが多いので、“野菜と
種実”両方の栄養が効率よくとれます。


“あぶら”と一緒に食べて、ビタミンの吸収率をアップさせるレシピ

トマトや、ブロッコリー、ピーマンなど緑黄色野菜と、オリーブオイルの組み合わせで、
よりビタミンの吸収率のアップが期待できるパスタです。またアンチョビ(かたくちいわしの油漬け)はパスタの味付けのアクセントになるばかりではなく、DHAやEPAも豊富ですので一石二鳥の食材です。

●緑黄色野菜の栄養をたっぷり吸収!お手軽アンチョビパスタ●
【材料2人分】       
oliveoilhouren1tomato1・スパゲティ(乾) 160g~200g
・トマト ホール缶1個
・アンチョビ缶詰 1/2個
・ブロッコリー、ピーマン、ほうれん草などお好みの緑黄色野菜を適量
・オリーブオイル 適量
・ニンニク 適量
・塩、コショウ 適量

【作り方】
①フライパンにオリーブオイル適量と薄くスライスしたニンニクを入れ、低温で焦がさないよう
 に火を通します。
②ニンニクが焦んがりキツネ色になったところで、みじん切りにしたアンチョビと、食べやすい
 大きさに切った緑黄色野菜を加え、さっと炒めます。
 (食材によって、火が通りにくいものは、さっと下茹でしておくとよいでしょう)
③②にトマトを手でつぶしながら加えて煮込み、塩・コショウで味を調えます。アンチョビ自体
 に塩分がありますので、いつもより控えめで丁度よいでしょう。 (煮込む程度はお好みで)
④ソースを煮込んでいる間にパスタを茹でます。       
⑤茹であがったスパゲティの上に、③を盛り付けてできあがりです。           spa_ara_