じゃがいもは、ゆでる、ふかす、煮る、炒める、焼く、揚げるなど、調理法のバリエーション豊かで、主菜、副菜、付け合わせ様々に応用ができ、和食・洋食・中華どんな料理にも合わせられ、また比較的安価で保存もしやすいことが人気です。
今回はじゃがいもの魅力をお届けします。
日本でのじゃがいも栽培
日本では17世紀ごろに伝来し、18~19世紀ごろに救荒作物として全国に広がったといわれています。現在、国内での生産量は北海道が最も多く、次いで長崎、鹿児島などでも多く作られています。
北海道では7月下旬~10月に収穫され、長崎では3月〜6月が春じゃが、秋作が12月〜1月頃に収穫されています。鹿児島では1月下旬〜5月頃が春じゃが、秋作は11月〜12月頃に収穫されます。1年に2回収穫できることからじゃがいもは「二度芋」とも呼ばれてきました。
地域によっては3回収穫できるため「三度芋」とも呼ばれます。
収穫時期が地域によって異なることと貯蔵や出荷の調整により、じゃがいもは現在年間通して店頭に並んでいます。
じゃがいもの品種
じゃがいもにはさまざまな品種があります。日本では農林水産省に登録されているだけでも130種以上ありますが、世界では2,000種以上存在しているといわれています。
日本で流通しているじゃがいもは、大きく分けて「ほくほく系」「しっとり系」で分けることができます。
ほくほく系
品種:男爵、キタアカリ、アンデスレッド など
適した料理:ポテトサラダ、マッシュポテト、粉ふきいも、コロッケ
しっとり系
品種:メークイン、インカのめざめ、とうや、ノーザンルビー など
適した料理:肉じゃが、カレー、シチューなどの煮込み料理
栄養的特長
じゃがいもの栄養は主に炭水化物(でんぷん)です。他にビタミンC、カリウム、食物繊維なども多く含まれています。
炭水化物(でんぷん)
じゃがいもに多く含まれる炭水化物は、体を動かすエネルギー源としてとても重要な栄養素です。海外ではじゃがいもを主食としている国もあり、主成分がでんぷんであることや、たんぱく質含有量も米飯とほぼ同じであるため、ごはんやパン、麺といった主食の代わりになります。
では、主食の観点で、じゃがいも1個とご飯1杯を比較すると、じゃがいもの方が、炭水化物とエネルギー量が低いので、エネルギーを抑えたい場合に上手く活用できる食材です。

ビタミンC
ビタミンCは水に溶けやすい性質があり、茹でることで水に流出したり、長時間の加熱によって減少したりすることがあります。しかし、じゃがいもに含まれるビタミンCは、でんぷんに守られており、加熱しても比較的残りやすいのが特長です。
茹でたじゃがいもには、可食部100g(小さめのじゃがいも約1個分)あたり、約18mgのビタミンCが含まれています。これは、バナナとトマトとほぼ同量です。
このように、じゃがいもは茹でてもビタミンCが比較的多く残り、栄養面でも魅力的な野菜です。他にもよりビタミンCを残すためには、大きく切って調理することがポイントです。小さく切るほどビタミンCが茹で汁に溶け出しやすくなるため、大きめに切って茹でることで、ビタミンCの損失を抑えることができます。
カリウム
カリウムには、体内の余分な塩分を尿とともに排出する働きがあり、血圧の上昇を抑える効果が期待できます。また、体内の水分バランスを調整する働きもあり、むくみの予防にも役立ちます。塩分を控えるだけでなく、カリウムを十分に摂ることも大切です。
カリウムは果物や野菜にも多く含まれていますが、カリウムは水に溶けやすい性質があるため、ゆでることで大きく減少してしまいます。じゃがいもは皮付きのまま加熱し、加熱後に皮をむくことで、カリウムの流出を抑えることができます。
また、じゃがいもに含まれるカリウムを効率よく摂取するには、カリウムが水に溶け出しにくい電子レンジ調理や蒸し料理がおすすめです。
食物繊維
じゃがいもには、腸内環境を整えたり、便通を改善したりする働きが期待できる食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維といえば、さつまいもをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、実はじゃがいもにも食物繊維が多く含まれています。蒸したじゃがいも(皮なし)の食物繊維量は、100gあたり3.5gです。一方、蒸したさつまいも(皮なし)は100gあたり2.3gであり、じゃがいもの方が約1.5倍多く含まれています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、食物繊維の1日あたりの摂取目標量は、18〜64歳の男性で20g以上、女性で18g以上とされています。
1日3食の食事で目標量を摂取することを考えると、1食あたり約6〜7gの食物繊維が必要になります。
食物繊維を十分に摂取するためには、じゃがいもを上手に日々の食事に取り入れることがおすすめです。
注意点
皮が緑色の場合は、剥いて取り除く
皮が緑の場合には、チャコニンやソラニンを含んでいる可能性があるため、きちんと剥いて取り除きましょう。ソラニンはじゃがいもの芽や緑色の部分に含まれています。熱に強い毒素であるため、ゆでる、揚げる、炒めるなどの加熱調理では毒性が消えないので、芽をしっかり取り除き、皮を厚めに剥くことが望ましいです。
加熱と味付けタイミング
じゃがいもには、50〜70℃の温度帯で長く加熱すると、組織が硬くなり、柔らかくなりにくくなる「硬化現象」という性質があります。また、柔らかくなる前に、塩や醤油などの調味料を入れてしまうことも硬化させる原因になります。
煮物などを作る際は、水から加熱し沸騰するまでは中火~強火で一気に温度を上げて、じゃがいもにしっかり火を通し、柔らかくなってから味付けしましょう。
保管方法
日の当たらない暗い場所で保管しましょう。
新聞紙や紙袋で包んだりする方法がおすすめです。
日光など紫外線や、蛍光灯などの明るい光を浴びることでソラニンが増えやすくなります。
冷凍保存と調理方法
じゃがいもは、冷凍に不向きと思われがちですが、実は下ごしらえをしっかりしておくことで1~4か月ほど冷凍保存することができます。
方法1:マッシュポテトにして保存
マッシュポテトにして冷ましてからラップに平たく包み、密封袋に入れて冷凍すると1か月ほど保存ができます。解凍は電子レンジなどでしてください。
ハンバーグの付け合わせや、家にある野菜を和えるだけで簡単にポテトサラダができ、忙しい日に簡単に1品プラスすることができます。
方法2:生のまま保存
カットして、水にさらして、水気をしっかりペーパータオルでふきとり、
冷凍保存対応の密封袋にいれます。使用するときは、凍ったまま煮物やスープにいれることができます。特に電子レンジ調理がおすすめです。耐熱容器に載せて600Wで2~3分加熱し、ひっくり返して再度加熱することで中心までホクホクになります。
おすすめレシピ
じゃがいもと乳製品は相性が良く、さまざまな料理で組み合わせられています。
栄養面では、じゃがいもにはエネルギー源となる炭水化物のほか、ビタミンCやカリウム、食物繊維などが含まれています。一方、乳製品には、筋肉や骨の健康を支えるたんぱく質やカルシウムが豊富です。一緒に食べることで、それぞれの栄養素を補い合い、栄養バランスのよい一品に仕上がります。
また、おいしさの面でも相性のよい組み合わせです。加熱によって引き出されるじゃがいもの自然な甘味に、乳製品のほのかな甘味や乳脂肪のコクが加わることで、まろやかで奥行きのある味わいが生まれます。今回は、じゃがいもと乳製品の相性の良さを楽しめる、フランス風のポテトグラタンをご紹介します。
フランス風ポテトグラタン(グラタン・ドフィノワ)
【材料 2人分】
・じゃがいも(中) 2個
・牛乳 200ml
・有塩バター 10g
・ピザ用ミックスチーズ 30g
・おろしにんにく 1片
・こしょう 少々
・塩 少々(2本の指で掴むくらい)
・粉パセリ 少々
【作り方】
1.じゃがいもは皮をむいて5mmの厚さに切ります。水にさらさず、牛乳とともに鍋に入れます。
2.おろしにんにく、こしょう、塩を加え、強火~中火で5分煮ます。
じゃがいもは後でオーブンでも加熱するので、柔らかくなりすぎないように注意。
軽く串がさせるくらいになったら火を止めます。
3. オーブン用の耐熱容器にバターを塗りじゃがいもを平たく並べます。
4.鍋に残っているソースを弱火で煮詰めます。
5.ソースにとろみがついたら、鍋の火を止めてソースをじゃがいもの上から流し入れ、上にピザ用ミックスチーズをのせます。
6.200度のオーブン(トースター)で10分ほど焼き上げます。
7.粉パセリを振りかけて完成です。
【ポイント】
・じゃがいもはメークインがおすすめです。 煮崩れしにくく、形を保ちながらしっとりと仕上がります。
・じゃがいもをさらに薄くスライスすると、層が重なったミルフィーユのような繊細な食感が楽しめます。
・半量を生クリームにすると濃厚でリッチな味わいに仕上がります。
・ナツメグを少量加えるとコクや甘みを引き立て、塩分を控えめにしても満足感のある味わいになります。


