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栄養コラム

オリーブオイル

No.273

2026年9月1日

渡邉美紅

オリーブと聞くと、どこか穏やかで平和なイメージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実際にオリーブは古くから「平和の象徴」とされ、世界中で親しまれてきました。その由来の一つが古代ギリシャ神話です。アテネ建国における神話では、アテネの守護神争いで誰を守護神にするかを決める際、女神アテナは人々にオリーブの木を授けました。人々は暮らしに役立つ恵みをもたらした女神アテナを選び、それ以来オリーブは平和や繁栄の象徴として語り継がれています。また、古代オリンピックでは勝者にオリーブの冠が贈られていたことからも、その特別な存在であったことが分かります。今月は、そんなオリーブから作られる「オリーブオイル」をご紹介します。


原料「オリーブ」について

オリーブの旬

オリーブの実は、主に9月頃から収穫が始まります。実は熟すにつれて緑色から赤紫色、そして黒紫色へと色が変化します。収穫された実はそのままでは苦みが強いため、塩漬けやオリーブオイルなどに加工されます。収穫されたオリーブは、そのままでは独特の苦みがあるため、加工
することでさまざまな形で楽しむことができます。

オリーブの有効利用

オリーブには、食用に向く品種や、オリーブオイルづくりに適した品種など、さまざまな種類があります。オリーブオイルは、オリーブの果実を搾ってつくられますが、搾った後に残る果実も飼料として活用されています。こうした飼料を与えて育てられているのが、「オリーブハマチ」や「オリーブ豚」「オリーブ牛」です。オリーブの恵みを受けて育ったこれらの畜産物は、脂の甘みやまろやかさ、さっぱりとした味わいが特徴とされています。オリーブはオイルにするだけでなく、搾った後の果実まで無駄なく活用され、さまざまな食べ物につながっています。


オリーブオイルの種類

エクストラバージンオリーブオイル 

エクストラバージンオリーブオイルは、化学的な処理を行わず、オリーブの果実を機械的に搾るだけでつくられ、香りや風味、酸度などの厳しい品質基準を満たしたものを指します。品種や収穫時期によって、青々しい香りやフルーティーな風味、ほのかな苦みや辛みなど、味わいにもさまざまな個性があります。
そのため、加熱料理だけでなく、サラダにかけたり、パンにつけたり、料理の仕上げにひとかけしたりすることで、オリーブそのものの香りや風味を楽しむことが
できます。

ピュアオリーブオイル

ピュアオリーブオイルはバージンオリーブオイルと精製したオリーブオイルをブレンドしたものです。一般的に日本国内で流通しているのは、「バージンオリーブオイル(エクストラバージン)」と「ピュアオリーブオイル(オリーブオイル)」
です。


栄養的特長

脂肪酸バランスを取りやすくなる!オリーブオイルはオレイン酸が豊富

脂肪酸のバランスについて
脂質を健康的に取り入れるためには、「量」だけでなく「質」にも注目することが大切です。
脂質の「質」を考えるうえで重要なのが、脂質を構成する脂肪酸の種類とバランスです。脂肪酸の割合は、食品によって大きく異なります。しかし、その違いは見た目だけでは分かりません。健康づくりのためには、脂肪の量だけでなく「脂肪の質」にも目を向けることが大切です。

飽和脂肪酸(S)
体内でエネルギー源となるほか、細胞やホルモンなどをつくるためにも必要ですが、
摂りすぎると総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールが増加することがあり、
動脈硬化や心疾患のリスクが高まるため、摂りすぎには注意が必要です。
肉の脂身やバター、乳製品など主に動物性の脂肪に多く含まれています。

一価不飽和脂肪酸(M)
LDLコレステロールを増やしにくい脂肪酸です。飽和脂肪酸の代わりに取り入れることで、脂肪の質の改善につながります。
血液中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させる作用により、高血圧や脳梗塞などのリスクを下げます。同じ不飽和脂肪酸の仲間でも多価不飽和脂肪酸と比べて酸化しにくいため加熱調理にも適しています。オリーブオイルやナッツ類に多く含まれています。

多価不飽和脂肪酸(P)
体内で十分につくることができないため、食事から摂る必要がある脂肪酸です。
体をつくる構成成分や免疫反応や抗炎症作用、神経機能の維持などに関与したり、血液中のコレステロールバランスを整えるなど、様々な有効な働きがあります。熱や光、空気に弱く酸化しやすいので保存には注意が必要です。植物油や魚に多く含まれています。

出典:日本食品標準成分表(八訂増補)2023

脂肪酸それぞれの働きも体内での安定度なども異なるため、これら3つの脂肪酸がどれかに偏るのではなく、バランスを整えることが健康や生活習慣病予防のためには重要であるとされています。日本人の食事は、平均すると理想に近い脂肪酸バランスだと言われていますが、個々の食事内容によってはバランスが悪い状態になります。特に、オリーブオイルに豊富に含まれる一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)は、飽和脂肪酸の多い食品や油脂の代わりに取り入れることで、食生活全体の脂肪酸のバランスを整えるのに役立ちます。
例えば、パンにバターやマーガリンを塗っている方は、オリーブオイルに置き換えることで、
飽和脂肪酸を減らし、一価不飽和脂肪酸を増やすことができます。脂肪を追加するのではなく、「置き換える」ことがポイントです。

出典:日本食品標準成分表(八訂増補)2023


βカロテン

オリーブオイルには、β-カロテンも含まれています。一般的に使われている大豆油や調合油、ごま油にはゼロか微量程度です。
β-カロテンは、緑黄色野菜などにも含まれている成分で、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。さらに、β-カロテンは脂溶性の成分で、油脂と一緒に摂ることで吸収率が高まるといわれています。
そのため、β-カロテンを含む野菜とオリーブオイルを組み合わせて食べるのもおすすめです。野菜からβ-カロテンを、オリーブオイルからもβ-カロテンを摂ることができ、さらに油と一緒に摂ることで効率よく取り入れられるのは、オリーブオイルの魅力のひとつですね。

出典:日本食品標準成分表(八訂増補)2023


気を付けたいポイント

摂りすぎに注意

健康に良いイメージのあるオリーブオイルですが、油であることに変わりはありません。エネルギーが高いため、使い過ぎには注意しましょう。追加する場合の目安はティースプーン1杯(約5mL)程度はです。あるいはパンに塗るマーガリンやバターをオリーブオイルに変えたり、オリーブオイルでドレッシング作るなど、普段使っている油をオリーブオイルに変えて取り入れるのもおすすめです。
また、オリーブの塩漬けは塩分を多く含むため、食べ過ぎには気を付けましょう。
オリーブオイルはティースプーン1杯程度にしましょう。

保存方法 

オリーブオイルは 「光を避ける・空気に触れさせない」 の2つを意識して保存すると、香りや風味を長く楽しむことができます。

・ 光を避ける
オリーブオイルは光に当たると酸化が進み、香りや風味が劣化しやすくなります。特に直射日光の当たる場所は避け、暗くて涼しい場所で保存しましょう。透明な容器の場合は、光が当たりにくい場所に置くこともポイントです。

・ 空気に触れさせない
オリーブオイルは空気に触れることで酸化が進み、風味が落ちていきます。使用後はキャップをしっかり閉めて、できるだけ空気に触れないようにしましょう。また、一度開封したものは長期間保存せず、早めに使い切ることも大切です。


おすすめレシピ

オリーブオイルを使った、野菜のマリネをご紹介します。
休日の等の少し時間があるときに作り置きをして、忙しい日の野菜不足を補える一品です。簡単にできます♪

彩り野菜のマリネ

【材料(4〜5食分)】
・ミニトマト 10〜12個
・ブロッコリー 1株
・にんじん 1/2本
・ヤングコーン 5〜6本 ※お好みで
・なす 2本
・オリーブオイル 大さじ3

○マリネ液
・オリーブオイル 大さじ2
・酢(米酢・りんご酢など) 大さじ2
・しょうゆ 大さじ1
・砂糖 小さじ1
・塩 小さじ1/3
・こしょう 少々
・にんにく(すりおろし) 少々 ※お好みで

【作り方】
1.ミニトマトは半分、なすは乱切り、にんじんは薄めの短冊切りにする。ブロッコリーは小房に分けます。
2.ブロッコリー・にんじん・ヤングコーンは茹でるかレンジで加熱します。
なすはフライパンにオリーブオイル大さじ3を熱し、焼き色がつくまで焼きます。
3.マリネ液の材料を全て混ぜます。
4.1,2の加熱した野菜とミニトマトを保存容器に入れ、3.のマリネ液をかけて全体を和えます。
5.粗熱が取れたら冷蔵庫で30分以上冷やしてできあがりです。(できれば一晩置くとおいしいです)

◎アレンジ
・ボイルしたエビなどを一緒に入れても相性抜群です。鶏むね肉やツナの缶詰を加えても、食べ応えのある一品になります。
・酢をバルサミコ酢に変えると、コクのあるフルーティーな味わいに仕上がります。
・きのこ類ともよく合います。他にも旬の野菜と一緒に、オリーブオイルの豊かな風味を楽しんでみてください。