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栄養コラム

便秘対策

No.146

2016年2月1日

管理栄養士 田口 瑛里沙

2月はまだ厳しい寒さが続き、風邪をひいたり体調を崩しやすい季節です。さらに来月は年度末を迎え、何かと忙しくなりますので、特に体調管理に気を付けていきましょう。 体調管理の一つとして、便通を意識されている方もいらっしゃると思います。近年の研究では腸が健康に大きく関係していることが注目されています。普段は問題がなくても、食生活や生活習慣が乱れると便秘になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「便秘」対策についてお話します。6


<便がつくられるしくみ>

口から入った食べ物は、胃や腸などの消化管を通って消化吸収され、5体に吸収されなかった残りカスが便として肛門から排泄されます。便は主に大腸の働きにより形成され、大腸に食べ物のカスが運ばれると、腸内の蠕動運動が開始され、水分を吸収しながら固形にしていきます。水分が少なくなり固形化した食べ物のカスが肛門に近づいてきたら、脳に指令がいき便の排泄を促します。


<便秘とは>

便秘とは、排泄の回数が少ないことや排泄物がお腹の中に滞っている7など「思うように便が出ない」ことをいいます。毎日便通があったとしても、出すのが苦痛、残便感があるなどが便秘といわれます。個々人によって食べ物の消化時間は異なるため、逆に毎日便通がなかったとしてもすっきり感があれば便秘とはいいません。便秘は特に女性や高齢者に多くみられ、女性ホルモンの関係や筋力低下、腹筋力が弱いなどによって起こりやすくなります。
便秘は重大な病気とされていませんが、便秘の状態が続き、腸内環境が悪くなると、肌荒れや頭痛、腹痛、肩こりなど体全体に悪い影響を与えます。
体調や生活習慣を管理する上で便通も一つの指標となります。


<便秘の原因>

便秘にも様々な種類があり、原因や症状は人によって異なります。病気や服薬の副作用などが原因でなることもありますが、ほとんどは生活習慣の乱れが関係して起こります。ご自身で原因となっている生活習慣を見つけ、改善していくことが便秘解消に繋がります。

【生活習慣による便秘の原因】
●欠食や食事量の不足
食事は1日の体内リズムに大きな影響を与えます。欠食などにより食生活が乱れると腸の動きが悪くなります。また、ダイエットなどで全体の食事量が少ないと便が作られる量も少なくなり、腸内に便が停滞しやすくなります。

●水分不足
体に必要な水分が不足すると、便から水分を吸収して体内の水分量を保とうとするため、便を硬くさせる原因になります。汗や尿などでも水分が代謝されるため、しっかりと水分補給をすることが便秘解消には重要です。

●運動不足
デスクワークなどで体を動かすことが少ないと腸の動きが低下しやすくなります。また、便を押し出すための腹筋が弱いと上手く排便できず便秘に繋がります。

●疲労とストレス
腸の蠕動運動は、自律神経によって行われています。疲れや精神的なストレスが溜ると自律神経の働きに悪影響を及ぼし、腸の動きを低下させることに繋がります。

●便意を我慢する
便意が起きているのに、時間がないなどでトイレへ行かず我慢を繰り返していると、便意が感じられにくくなり、便が溜りやすくなってしまいます。


<便秘解消におすすめの食品>

原因となる生活習慣の改善と共に、理想的な便(バナナのような柔らかさ)を作り出すためにおすすめの食品を取り入れてみましょう。

●食物繊維が多い食品を摂る
食物繊維は腸のお掃除役であり、便の材料となります。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あり、組み合わせて摂ることがおすすめです。

水溶性食物繊維
水分の保持能力が高く、腸内で水分を吸着するため、便を柔らかくして排泄してくれます。
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【水溶性食物繊維が多い食品】
わかめ、昆布等の海藻類、こんにゃく、果物 など

不溶性食物繊維
腸管内で水分を吸収し、便の量を増大させる働きがあります。また腸の蠕動運動を盛んにし、
排泄までの時間を短縮させてくれます。
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【不溶性食物繊維多い食品】
ごぼう、大根等の根菜、豆類、しいたけやなめこ等のきのこ類 など

●善玉菌を多く含む、または増やす食品を摂る
健康な腸内では、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などの菌が善玉菌として腸内環境を整えています。生活習慣が乱れると大腸菌などの悪玉菌が増加し、便秘を引き起こす原因となります。善玉菌を多く含む食品や、善玉菌を増やすオリゴ糖が多く含まれる食品をとりましょう。

【善玉菌を多く含む食品】
発酵食品(ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、漬物、キムチなど)3

【善玉菌を増やす食品】
バナナ、牛乳、ヨーグルト、大豆 など

●体を温める食品を摂る
体が冷えると腸内も冷えて腸の働きが悪くなるので、体を温めるような食品をとりましょう。
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【体を温める食品】
しょうが、にんにく、唐辛子 など


<おすすめレシピ>

料理を一品追加したいときに簡単にできる、善玉菌を多く含む発酵食品のキムチと食物繊維が豊富な切り干し大根を使用した「便秘解消レシピ」をご紹介します。この一品で食物繊維量は3.2g摂ることができます。これは1食分目標量の約半分に相当します。

●切り干し大根のキムチ和え
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【材料】(2人分)
・切り干し大根 ・・・20g
・乾燥わかめ ・・・小さじ1.5
・焼きちくわ ・・・小1本(長さ10cmくらいのもの)
・じゃこ ・・・小さじ1
・白菜キムチ ・・・40g
・しょうゆ ・・・小さじ1/2
・ごま油 ・・・小さじ1/2
・青ねぎ ・・・少々

【作り方】
1.耐熱皿を2つ用意し、それぞれに切り干し大根と乾燥わかめを入れます。そこに浸るくらい
     の水を入れてラップをし、電子レンジで加熱して戻します。(切り干し大根は1~2分、乾燥
     わかめは約30秒)
2.焼きちくわは、3cm程の長さで千切りにし、白菜キムチは細かく刻んでおきます。
3.1.が戻ったら、水気を絞り、食べやすい大きさに切ります。
4.2、3とじゃこ、しょうゆ、ごま油を入れ混ぜ合わせます。
5.お皿に盛り、青ねぎをかけて完成です。

※辛いのが苦手な方は、キムチの代わりに奈良漬やたくあん、古漬けなどにしても美味しくいた
 だけます。
※切り干し大根と白菜キムチのみでも、よいお酒のおつまみになります。