ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

とうもろこし(スイートコーン)

No.164

2017年8月1日

管理栄養士 田原 佳奈

夏になると葉付きのとうもろこしが店頭に並び、茹でておやつとして食べたり、夏祭りや海水浴場などでもよく食べられ、夏を代表とする野菜として親しまれています。とうもろこしは、野菜といっても野菜の中でエネルギーが高く、野菜の良さも合わせもつことで、使い方次第で足りない栄養を補え、体調を整えるのにおすすめの食品です。


とうもろこし

とうもろこしは、米や麦とともに世界の三大穀類の一つで、ご飯などと同じ主食として食べられている国もあります。わが国での一番身近なとうもろこしは、野菜として食べられている「スイートコーン」です。夏には国産の生のとうもろこしが出回りますが、生は鮮度が落ちやすくこの時季にしか食べられないため、今が新鮮なとうもろこしを楽しめる時です。また、よくある缶詰のコーンも同じスイートコーンで、こちらは一年中手に入り、そのまま食べられるので手間もかからずに使えます。


とうもろこしの良さ

高エネルギーでありながら、野菜の良さをもつ優れた食品です。

●その1 夏バテ予防

夏バテの原因の一つが食欲不振によるエネルギー・栄養不足です。とうもろこしは、穀類の一種でもあるので、炭水化物(糖質)が多く含まれており、炭水化物(糖質)は素早くエネルギーにかわるエネルギー源となります。また、エネルギー代謝に関わるビタミンであるビタミンB1、B2も多く、一緒に補給することで効率的なエネルギー源となります。さらに、野菜類には少ないたんぱく質も多く含まれています。たんぱく質は、疲労回復や免疫力を高めるために必要です。とうもろこしにはこれらの夏バテ予防にとりたいビタミンB1・B2、たんぱく質が野菜の中ではダントツに多く含まれ、例えばおにぎりと比較すると、とうもろこしの方が多くとることができるのです。特に夏の暑い日には甘味の強いとうもろこしは食べやすく、食事で足りないものを補給するおやつや夕方の補食としてもおすすめです。

 エネルギー(kcal)たんぱく質(g)ビタミンB1(mg)ビタミンB2(mg)
とうもろこし1/2本893.20.110.09
おにぎり 1個1852.80.020.01

(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)

●その2 便秘改善

夏は食欲不振などにより食事量全体が少なくなると、便が作られる量が少なくなり、腸に便が停滞しやすくなったり、水分が不足して便が硬くなったりすることで便秘になりやすくなります。とうもろこしに多く含まれる食物繊維は、腸内で水分を吸収し、便の量を増やす働きや、腸の蠕動運動を盛んにして便通を良くすることで、便秘を解消しやすくなります。食物繊維は野菜に多く含まれますが、とうもろこし1/2本で、一般的な野菜サラダの3倍以上多くとることができます。

 食物繊維総量(g)
とうもろこし 1/2本2.8
野菜サラダ 1皿(レタス、トマト、キュウリ)0.8

          (食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)


注意点

とうもろこしは他の野菜と比べるとエネルギーが高く、炭水化物はじゃがいもと同程度です。穀類のご飯やパンと比べれば少ないですが、食べ過ぎは摂取エネルギーの過剰や、血糖を乱す原因となります。特に血糖コントロールが必要な方や血糖値が高めの方は、ご飯やパン類と同じ分類と考えてとりましょう。また、消化が悪い食品のため、胃腸が弱い方や弱っている方は下痢などになりやすいので、1日1/4~1/2本程度を目安にとりましょう。

  炭水化物(g)
 ごはん 普通茶碗1杯 55.7
 食パン 6枚切り1枚 28.0
 じゃがいも 1個 17.6
 とうもろこし 1/2本 16.8
 トマト 1個 7.1
 きゅうり 1本 3.0

(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)


保存方法

生のとうもろこしは鮮度が落ちやすく、採ったすぐ後から甘味も減っていきますので、新鮮なうちに調理して食べましょう。買ってきたら冷蔵庫に保管し、その日に食べられない場合は茹でてから冷凍しておけば長持ちします。
○電子レンジで簡単に茹でる方法
火を使ったり、大きな鍋を用意するのが手間な場合は、電子レンジで手軽に茹でられます。
【方法】
1.葉とヒゲをとります
2.水で洗い、水滴が少しついているぐらいでラップに包みます
3.600w5分/本を目安に電子レンジで温めます


<おすすめレシピ>

旬の食材をたっぷり使い、食欲がないときにでもさっぱりとした酢飯やみょうがや大葉の香りで食欲が高まる一品をご紹介します。また「たこ」を加えることで、疲労回復を早めるたんぱく質や、肝臓の機能を高めるタウリンも多くとれるので、疲労回復に役立ちます。赤、黄、緑の鮮やかな色彩で視覚からも食欲をそそり、酢飯の酸味、とうもろこしの甘味、みょうがや大葉の苦味やさわやかな香り、たこのコリコリした食感などいろんな感覚を刺激することで体を元気にする、夏にぴったりのメニューです。

●夏野菜のちらし寿司

【材料】
 [酢飯]
・ご飯・・・1合
・砂糖・・・大さじ1/2
・酢…大さじ2
・塩…小さじ1/2

[具]
・とうもろこし(ホールコーン缶または生)・・・80g (約1/2本分)
・オクラ・・・30g (4~5本)
・たこ・・・60g
・みょうが…2個
・大葉・・・4枚
・ミニトマト…2個
・白ごま…3g (小さじ1杯)

【作り方】
[酢飯]
1.少し固めにご飯を炊きます。
2.砂糖、酢、塩をよく混ぜ合わせます。
3.ご飯が炊き上がったら、米を切るように2と混ぜ合わせます。
※うちわで扇ぎながら混ぜると、粗熱がとれ、つやのある酢飯になります。

[ちらし寿司]
1.生のとうもろこしとオクラは茹でておきます
2.とうもろこしは実をそぎ落とし、オクラは小口切り、たこは5mm角、みょうがは薄い輪切りスライス、大葉は千切り、ミニトマトは4等分にします。
3.酢飯に、とうもろこし、オクラ、たこ、みょうが、大葉、白ごまを混ぜ合わせます。
4.お皿に盛りつけ、ミニトマトを飾って完成です。

【アレンジ】
・オクラの代わりにきゅうりや枝豆、たこの代わりにイカやエビ、ツナなど、お好きなものを混ぜ合わせてください。