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栄養コラム

 春 菊 

No.41

2007年1月18日

国立健康・栄養研究所認定 栄養情報担当者(NR) 健康運動指導士 管理栄養士 須藤 律子

寒さが厳しくなってくるこの時期は、「鍋物」で身体を温めたいものです。
鍋物も様々な種類がありますが、鍋の具は、肉、魚介類、豆腐類、野菜、きのこ類等、案外何を入れても美味しく食べられるのが鍋の不思議なところです。具の中でも野菜は鍋物にすると容易く沢山食べられますので、普段から野菜が不足がちな方は、適度に鍋物を食べるというのもお勧めです。
さて鍋物の野菜の主役といえば白菜、脇役はネギと・・・色々ありますが、忘れてはならない脇役に「春菊」があります。11月から3月に旬を迎える春菊は、鍋以外にも冬の食卓には欠かせない野菜です。今回は春菊に関する情報をお届けします。
syungiku


名前の不思議

菊といえば秋の花なのに、「春の菊」とは少し変だと思いませんか?
実はこの名前、春になると菊に似た黄色い花を咲かせることからついた名前なのです。ただ、別名も多く、関西では「菊菜(きくな)」で親しまれたり、刈り取った後から何度も茎葉を出すことから「無人菊」「ふだん菊」「六月菊」と言う呼び名もあるようです。
また、中国では「どう蒿(どうこう)」と呼ばれ、肝臓や腎臓の病気を治したり、便秘を改善し、腸内の老廃物質を排出する漢方薬として使われています。


春菊の秘密-「香り」

春菊と言えば、あの爽やかだけどクセのある独特の香りが特徴ですが、「春菊が苦手」と言う方はたいていこの香りが苦手のようです。しかしあの香りは「ベンツアルデヒド」や「ピネン」など数種類の成分が作り出す絶妙なもので、自律神経に作用し、胃腸の働きを高め、痰をきり、咳を鎮める効果があるので、風邪をひきやすいこの季節にはまさにぴったりの食材です。


春菊の秘密-「栄養」

鮮やかな緑も特徴の春菊は「緑黄色野菜」です。緑黄色野菜の栄養といえばβ-カロテンが豊富です。β-カロテンの働きは、強い抗酸化作用によって活性酸素の働きを抑制したり、免疫機能を高めたり、肌の老化を防ぐ美容効果などがあり、様々な健康効果が期待されている注目成分の一つですが、春菊にはなんとほうれん草や小松菜を上回るβ-カロテンが含まれているのです。またβ-カロテンはビタミンAに変換されますが、春菊100g(約1束)で1日に必要なビタミンA量が摂取できるほど、ビタミンAが豊富な野菜と言えます。
その他、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分、食物繊維も豊富に含まれています。特に冬になると血圧が上がりやすくなりますが、春菊に含まれているカリウムは高血圧予防に役立ちます。またカリウムは水に溶けやすい性質を持っているので、鍋物にはピッタリ。汁を味わったり、最後に雑炊などにすれば残すことなくとることができます。


春菊の召し上がり方

繊維質が柔らかく、アクやクセも少ないので、生で食べても美味しい野菜です。
新鮮なものが手に入ったらサラダがお勧め。加熱する場合は軽く火を通すようにしましょう。茹ですぎも香りや栄養が損なわれてしまうので要注意。
お浸しや和え物にはさっと茹でて冷水にとり、色止めします。鍋物に入れる場合は、食べる直前に入れ、煮すぎないように注意しましょう。
ゴマやサラダ油など脂質の多いものと合わせてとると、ビタミンAが効率よく摂取できます。


○春菊のレシピ
☆春菊とりんごのサラダ☆
【材料】1人分
春菊 40g                             
大根 20g
しいたけ 1枚
りんご 20g
人参 少々

ドレッシング
ポン酢 大1
ゴマ油 小1
砂糖      小1/3
おろしにんにく 少々

【作り方】
①春菊は葉先まで緑でみずみずしいものを選びましょう。
②春菊を水で洗い、やわらかい葉の部分を摘み、パリっとさせるために氷水につけます。
③大根は細い千切りに、りんごは薄いいちょう切りにします。
④しいたけは焼き網で焼き食べやすい大きさにさいて下さい。
⑤ドレッシングは合わせておきます。
⑥春菊の水気を切り、③、④と合わせ、人参を粗めにおろしたものと、ドレッシングをかけて
 ざっくりと混ぜ合わせます。
⑦器に盛って出来上がりです。