ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

ワイン

No.63

2008年10月31日

管理栄養士 奥田志おり

11月の第3木曜日はボジョレーヌーボー解禁日です。
今やバブル期のように派手なイベントは行われていないようですが、デパートはもちろんのこと、スーパーやコンビニでもこの時期になるとボジョレーヌーボーの華やかなディスプレイが目立ちます。
初物好きの日本人にとっては恒例のお楽しみとして定着しつつあります。
ちなみに産地では雨が多かったため今年のぶどうの収穫量は激減ですが、その分栄養が凝縮されるので質の高いワインが期待できるそうです。
wine taru


ボジョレーヌーボーとは?

“ボジョレー”は地名で、フランス中心部のやや東側にあるブルゴー
ニュ地方の南端にあります。grapeglass and bottle北緯は46度ですので日本でいうと稚内より少し下辺りに相当し、夏でもさわやかな気候です。
“ヌーボー”はフランス語で“新しい”の意味ですのでボジョレーヌーボーは“ボジョレー地方でその年に収穫したぶどうから作った新酒”ということになります。


ボジョレーヌーボーの魅力

「ガメイ」という品種のぶどうを使って作られます。タンニン分や糖分が少なく、アルコール度も低いため長期熟成に向いていません。
しかしその弱点を逆手にとり「若くてフレッシュ、収穫したての新酒」として売り出したのが功を奏しました。
9月に収穫するので醸造期間は2ヶ月足らずしかありません。タンニンの渋みは、ゆっくりと熟成させる過程でまろやかになり初めて美味しく飲めるようになるのですが、ボジョレーヌーボーの場合は、時間が限られていますので「マセラシオン・カルボニック法」という少し変わった方法で醸造します。すると特有のフルーティな香りを持った軽めの赤ワインに仕上がります。
ワイン初心者にも飲み易く、また日本の家庭料理にも合わせ易いのが魅力です。その証拠に!?日本はボジョレーヌーボーの消費が世界一だそうです。


ワインが出来るしくみ

ワインは、ぶどうの果皮に付いている酵母が、果汁の糖を食べてアルコールに変えていく「アルコール発酵」によって造られます。
天然酵母は、土地々々によってもちろん違うのでこれがそれぞれのワインの特徴の一つとして現れてきます。
しかし残念ながら近年は効率的な生産を優先するために人工的に培養した菌を使用しているケースが増えていますので、その土地独自の風味が損なわれつつあるようです。
ちなみにぶどうを丸のまま発酵させるのが赤ワイン、果皮と種を取り除いてから発酵させるのが白ワインとなります。

 

もう迷わない!?ワインの選び方

ワインは種類が多すぎて、どれを選んだらよいのかわからない方も多いと思います。
選ぶ基準も色々とあるのですが、まずは主要なぶどう品種を覚え、プラス産地の特徴などをふまえて選んでいただければご自分の好みにより近いワインに巡り会えます。
同じぶどう品種から造られたワインでも産地が違えば、まったく別の味わいであることが少なくありません。
これこそがワインの醍醐味と言えるでしょう。
あとは様々なワインを試し、もしお気に入りのワインに出会えたら、酔わないうちに銘柄のメモをお忘れなく。
その際に一緒に飲んだ人や合わせた料理なども書き留めておくとワインの記憶がよみがえり易くなり、今後のワイン選びの際に役立つでしょう。

●赤ワイン用の主なぶどう品種
・ カベルネ・ソーヴィニヨン
タンニンと酸が豊富な長期熟成タイプです。フランスではボルドー地方のメドック地区で栽培されています。熟成の度合いとともにタンニンが柔らかくなりバランスが良くなるのが特徴です。病気にも強く、よく育つため、チリ、オーストラリア、アルゼンチン、カリフォルニア等でも栽培されています。

・ ピノ・ノワール
カベルネ・ソーヴィニヨンよりタンニンは少なく、繊細でまろやか、ベリー系の香りが特徴です。フランスではブルゴーニュを代表する高級品種です。冷涼な気候を好み、どこで栽培してもよく育つわけではないので栽培地域は限られています。カリフォルニアでも栽培されていますが、ブルゴーニュのワインに比べるとエレガントさに欠けるようです。

・ メルロー
カベルネ・ソーヴィニヨンよりタンニンは少なく、ビロードのような口あたりが特徴です。フランス、ボルドー地方のサンテミリオンやポムロールではメルロー主体で造られています。チリ、オーストラリア、カリフォルニア等でも栽培されています。

・ サンジョベーゼ
タンニンが少なめで、果実味が豊富、イタリアを代表する品種です。
お馴染みのイタリアワインで言うならば“キャンティ”はこの品種から作られています。

・ テンプラニーリョ
熟成により味わい深まる香り高く繊細なスペインを代表する品種です。

●白ワイン用の主なぶどう品種
・ シャルドネhuman
糖分と果汁が豊富な高級感あふれる品種です。皆さんがお馴染みの
フランスワインで言うならば“シャブリ”や“シャンパン”はこの品種から造られています。フランス以外にもチリ、オーストラリア、カリフォルニア、南アフリカ等各国で栽培されています。暑い土地で育ったシャルドネから造られたワインはボリューム感に富み、寒い土地で育ったシャルドネから造られたワインは酸味に富む、と覚えておくと便利です。

・ リースリング
白い花やハチミツのような香りとフルーティな味わいが特徴です。代表的な産地はドイツで甘口に仕上げられることが多いですが、フランスのアルザス地方では酸味を活かして辛口に造られます。その他チリ、オーストラリア等でも栽培されています。

・ ソーヴィニヨン・ブラン
青いハーブやスパイスのような香りとキリッとした酸味が特徴です。代表的な産地はフランスですが、オーストラリア、カリフォルニア等でも栽培されています。


ワインの栄養

赤ワインの栄養といえば真っ先に「ポリフェノール」と頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
赤ワインのポリフェノールは、ぶどうの果皮に含まれています。
ポリフェノールが注目されるきっかけとなったのは“フレンチ・パラドックス”です。
フランス人は脂肪分の多い食事をしているにもかかわらず、心臓疾患による死亡率が低いという現象を赤ワインを飲む習慣と関連づけた学説です。
赤ワインのポリフェノールは、その抗酸化作用から動脈硬化予防、抗がん作用、アンチエイジング、認知症など最近では様々な健康効果が期待されていますが、今のところヒトでの有効性については信頼できるデータが十分では無いようです。
一方、白ワインには、リンゴ酸や酒石酸などの有機酸が多く含まれ酸性度が高いため、殺菌作用があるとされています。
生牡蠣にシャブリ”という定番の組み合わせも理にかなっていたのですね。
いずれにしても、ワインはあくまでもアルコールですから、家族や気のおけない仲間と、美味しい料理を食べながら適量たしなむ程度が身体にも心にも良いと言えます。


ボジョレーヌーボーに合うお料理のレシピ

ボジョレーヌーボーは軽めのワインですので、和風の料理にも合わせ易いのが特徴です。
いつもの和風のメニューにそのまま合わせていただいても、もちろん美味しいですが、 ワインと料理の相性をより良くし、美味しさの相乗効果が期待できる一工夫メニューをご紹介します。

●肉じゃがボジョレー風●

【材料4人分】
・牛肉 200g
・じゃが芋 中2slice chessekona chessewinea1
・人参 1本
・玉ねぎ 1個
・しらたき 1袋
・チーズ 適量(粉チーズ、ピザ用チーズなどご自宅にあるもの)
・サラダ油 少々

《調味料》glass wine rednikujaga
・しょうゆ 大さじ 3
・みりん 大さじ 3
・ワイン カップ1/4

【作り方】
①材料はすべて食べやすい大きさに切っておきます。
②鍋にサラダ油を入れなじんだら牛肉と玉ねぎを炒め、火が通ったらチーズ以外の
 すべての材料とすべての調味料を加え、材料の2/3くらいの高さまで水を加えます。
③強火にして蓋をし、蒸し煮にします。途中、水分が足りなくなってきたら様子をみて
 水を適宜足します。
④汁気がなくなってきて、材料もやわらかくなったらチーズを加え蓋をします。
 余熱でチーズがトロリと溶けたら出来上がりです。

※ 残り物の肉じゃがでも利用できます。ワインを加えて温め、仕上げにチーズを加えるだけの
  簡単メニューです。