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栄養コラム

冷凍食品

No.69

2009年5月1日

国立健康・栄養研究所認定 栄養情報担当者(NR) 管理栄養士 杉田 恭子

昨年は基準を超える農薬を使用していたことが発覚し、注目を浴びた冷凍食品。それ以降、今まで以上に安全性に注意して購入するようになった方も多いのではないでしょうか。
最近では、冷凍食品を沢山ストックできるようにと、核家族化に反するように大きな冷蔵庫が売れているとか。スーパーなどの「冷凍食品半額セール!」の日には、沢山の冷凍食品でいっぱいの買い物かごを持った方々が多く見られます。
冷凍食品の品数もますます増えて、どこのスーパーでも大きくスペースを設けて販売されていて、忙しい現代人の強い味方!
うどん、ごはん、野菜から、料理まで冷凍食品のみで食事が完成してしまいます。
また、各社とも研究を重ねており、非常に味も良くなっているので、電子レンジさえあれば、自宅でプロ料理人の味が食べられる…そんな時代になりつつあります。
今回は、冷凍食品と安全においしく上手に付き合う方法をご紹介いたします!
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冷凍食品の安全性

消費者が安心して冷凍食品を利用できるよう、日本冷凍食品協会では協会の基準(設備・品質・衛生などの管理体制)に適合している工場を「日本冷凍食品協会確認工場」として認定しています。
この確認工場で製造される冷凍食品の品質検査を行い、協会基準に適合している製品に「認定証」マークが付けられます。
また、調理冷凍食品のうち、15品目(米飯類、麺類、フライ類、魚フライ、えびフライ、いかフライ、かきフライ、コロッケ、カツレツ、しゅうまい、ぎょうざ、春巻、ハンバーグステーキ、ミートボール、フィッシュボール)には農林水産省による日本農林規格(JAS)の「JASマーク」がついています。
これらの「お墨付きマーク」が付いているかどうかパッケージを確認することは、安全性が認められている冷凍食品を選ぶポイントのひとつとなります。
しかし、これらのマークは、製造した際の安全性を認めたマークですので、その後の保管方法が悪ければ、品質も落ちてしまいますので注意が必要です。


冷凍食品の購入・食べる前のポイント

では、実際にスーパーなどで購入する場合は、どこに注意して購入すればよいのでしょうか?
また、食べる前には何を確認してから食べれば安全でしょうか?
冷凍食品を購入する際のポイントと食べる前の確認ポイントをご紹介いたします。

【購入時の確認ポイント】
温度
①ショーケース内の温度は-15℃~-18℃
食品衛生法では-15℃以下、関連業界の「冷凍食品自主的取扱基準」では-18℃以下と定めています。
温度計を確認して、適温になっているか確認しましょう。

②ショーケース内「ロードライン」以下の商品
ロードラインとは「積荷限界線」のことで、このラインより下はケース内の温度が規定の温度に保たれているという限界のラインです。

包装
①しっかり包装されている商品
包装が破れていないか確認しましょう。

②商品表示を確認
産地、原材料名、賞味期限、保存方法、製造者などの情報が明確に表示されているか確認しましょう。

③マークを確認
日本冷凍協会の「認定証」マーク、日本農林規格の「JAS」マークが付いているか確認しましょう。

【食べる前の確認ポイント】
①色の確認
白っぽくなっているものは、乾燥が進んでしまっている可能性があります。

②霜の確認
包装の内側にたくさんの霜がついていたり、食品が雪をかぶったように真っ白になっている場合、品質が低下している可能性があります。
また、霜のにおいが付いてしまい、味が落ちてしまっている可能性があります。

③固まっていないか確認  
本来はくっついていないはずのものが、固まってしまっている場合、一度溶けてしまった可能性があります。一度溶けたものは品質が低下している可能性があります。

④購入してからの経過時間を確認
冷凍食品は、常に-18℃以下で保存ができれば、約1年は品質が保持できると言われています。家庭の冷凍庫の温度も-18℃程度ですが、ドアの開閉や、庫内にたくさんのものが入っていると冷凍庫内の温度が上がってしまい、-18℃以下を保つことが難しくなってしまいます。
温度の変化で冷凍食品の品質は落ちやすくなってしまいますので、このような家庭冷凍庫でのおいしく食べられる期間は購入後2~3ヵ月が目安となります。さらに、ドアポケットではより温度が上がりやすくなるため、1~2ヵ月が目安となります。
購入した日付を包装に記載しておいて、目安の期間内に食べるようにしましょう。


冷凍野菜は栄養が低下してしまうの?

最近では下処理済みの、すぐに料理に使える便利な冷凍野菜も出回っており、いんげん、里芋、かぼちゃ、ブロッコリー、ほうれんそう、オクラなどその種類も豊富です。
一般的に野菜類のビタミンは、加熱などの調理、加工で壊れやすいといえますが、冷凍した野菜はどうでしょうか?
市販の冷凍食品は低温で急速に凍らせることで、氷の結晶が小さく、食品の細胞を壊さずに冷凍することができます。そのため、栄養素の損失も最小限に抑えることができます。また、冷凍後も-18℃以下の低温で貯蔵することで、あまり栄養価を損なわずに保つことができるとの事。ビタミンの中でも特に壊れやすいビタミンCでも、ほとんど損なわれないという研究結果も出ています。
さらに、冷凍野菜はその野菜の旬の時期に作られています。野菜の栄養価は旬の時期がいちばん高いので冷凍野菜は一番栄養価の高い状態の野菜の栄養を丸ごととれるものと言えるかもしれません。冷凍野菜を上手に使って栄養バランスをよくする時代なのかもしれませんね。
       


売っている冷凍食品と自宅冷凍は何が違うの?

冷凍食品は日持ちして、しかも栄養価も損なわれにくいのであれば、自宅の冷凍庫を使って実践したいところですが、自宅の冷凍庫では、スーパーで買ってくるようなおいしい冷凍食品をつくることは難しいといえます。
理由は冷凍する温度。栄養価のところでも紹介いたしましたが、市販の冷凍食品の特徴は 「急速冷凍」。
市販の冷凍食品は-30℃位で冷凍処理をしますが、家庭用の一般的な冷凍庫の温度はだいたい-18℃程度。すでに冷凍されているものを保存するには適温ですが、常温のものを凍らすには時間がかかり、緩慢冷凍になってしまいます。
緩慢冷凍の場合、氷の結晶が大きくなってしまい、食品の細胞を壊しやすくなってしまうため、元の歯ごたえ、おいしさを維持しにくくなってしまいます。
さらに市販品とは違い、冷凍するときはタッパーやラップなどの簡易包装となるので、日持ちもしにくくなります。
残念ですが自宅冷凍には品質や美味しさなどの点で問題があるので、短期間保存として利用しましょう。 


じょうずに使おう冷凍食品のレシピ

料理をする時間がなかなかとれない忙しい方、料理をしたことがない男性でも、短時間に簡単に作れる冷凍食品の一品料理レシピをご紹介いたします。
今回は、普段不足しがちな野菜もたっぷりとれるお手軽健康レシピです!

●超簡単栄養満点リゾット●
【材料】4人分 
 ・冷凍野菜(ミックスベジタブル、ブロッコリー、アスパラなどお好みで)適量
 ・トマト  1個gas1
 ・ベーコン 2枚
 ・卵    2個
 ・ご飯   茶碗4杯
 ・粉チーズ 適量
 ・コンソメ 固形1個
 ・水    4カップ
 ・こしょう 適量

【作り方】
① ベーコンは、1~2cm程度の角切りにします。
② トマトは種を取り除き、一口サイズに切っておきます。
③ 鍋に水を沸騰させ、冷凍野菜を入れます。
④ 再び水が沸騰したら、トマトとベーコンを入れます。
⑤ 軽く煮たてたら、ご飯、コンソメを加え、3分程度煮込みます。
⑥ 食べる直前に、溶いた卵とお好みで粉チーズ、こしょうを振って出来上がり。

※冷凍野菜に霜が付いてしまっていた場合は、一度水にくぐらせて霜を取ってから使うと、
 冷凍庫のにおいなどを除くことができます。
※材料は冷蔵庫に残っているもの何でもOK。セロリやたまねぎなどを入れてもおいしく
 頂けます。また、玄米ご飯で作ると歯ごたえがあり、本物のリゾットのような食感が味わえて
 おすすめです。