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栄養コラム

食物繊維

No.94

2011年10月3日

管理栄養士 木村 愛

近年、「食物繊維」の健康効果への期待が高まってきています。食物繊維は、便秘予防に効果的であるということは有名だと思いますが、実はその他にも身体に良い働きを持っています。今回は、食物繊維の種類と働き、またより多く摂るためのコツをご紹介します。
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食物繊維の種類と働き

食物繊維は、体の中で消化されない成分のことです。現在では、5大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)に続く、「第6の栄養素」として重要視されています。以前、食物繊維は「食べ物のカス」とも言われ評価されておりませんでしたが、現在は様々な健康効果が期待されています。

食物繊維には、水に溶けないタイプと溶けるタイプの2種類があります。また、その2つのタイプによって働きは異なります。

●不溶性食物繊維
水に溶けないタイプの食物繊維。
胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。

【食材】
主に穀類、豆、野菜など

【働き】
・便秘の予防、解消する。
・食べ過ぎの予防をする。
・腸に関する病気の予防をする。
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●水溶性食物繊維
水に溶けやすいタイプの食物繊維。
胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぎます。

【食材】                      
主に野菜、果物、海藻類、芋類、こんにゃく など

【働き】
・コレステロールを吸着し吸収を防ぐとともに、血中コレステロールを下げる。
・糖の吸収を緩やかにし、血糖値が急激に上昇するのを防ぐ。
・便秘の予防をする。
・発がんリスクを軽減する。
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食物繊維は1日にどれくらい摂ればいいの?

食物繊維は1日に、男性は19g以上、女性は17g以上摂ることが望ましいとされていますが、平成20年度国民栄養調査では平均15gしか摂れておらず、不足している状況です。実は、日本人の食物繊維摂取量は年々減ってきているのです。その理由として、食生活の欧米化でおかずの内容が変わり、主食である米の摂取量が減ったことや、大麦などの雑穀類を食べなくなったことがあります。

食物繊維は、種類によって働きが異なるので、多種類の食品を組み合わせて摂ることがコツです。野菜に食物繊維が多いとはいえ、生野菜サラダばかりではかさが多く、量はなかなか摂れません。煮物やおひたしなど、火を通してたっぷり食べることも大切です。そして、豆や海藻、芋類なども積極的に摂るようにしましょう。


5gプラスするための一工夫

現在、平均15gしか摂れていないため、目標である男性19g以上、女性17g以上を摂るために、またその他の健康効果を得るためにも、プラス5gを目標にしてみましょう。不足がちな食物繊維を、今より5gプラスするための一工夫をご紹介します。

以下の組み合わせを参考にしてみると、目標の5gを摂ることができます。
①+②+③=約5gプラス

①主食を変える
白米より玄米・雑穀米、食パンより胚芽パンにする
(例)精白米(茶碗1杯) →玄米    約2g ↑
             →雑穀入り  約1g ↑ 
   食パン(1枚)      →胚芽パン  約2g ↑

②海藻を加える
(例)味噌汁 + 乾燥わかめ(2つまみ) 約1g ↑
   サラダ + 海藻  約1g ↑
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③きのこ類や茹で大豆を加える
(例)味噌汁 + 乾燥わかめ(2つまみ) 約1g ↑
   サラダ + 海藻  約1g ↑
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是非、みなさんの健康増進に役立てて下さいね。