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栄養コラム

ロコモティブシンドローム

No.118

2013年10月1日

管理栄養士 田口 瑛里沙

ロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことはありますか?
最近新しく耳のするようになった方が多いかもしれませんね。
今回は「ロコモティブシンドローム」についてのお話です。
rokomo


ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドローム(以下:ロコモ)とは、骨、筋肉、関節などrokomo2が衰え、骨粗しょう症や変形性膝関節症などにより、歩行や日常生活に何らかの困難があったり、要介護になる危険性が高い状態のことをいいます。
2007年に今後の日本の超高齢化社会を見据えて、日本整形外科学会が提唱し、いつまでも自分の足で歩き、介護を必要としない人を増やす(健康寿命を延ばす)取り組みです。


ロコモになる要因

骨や筋肉、関節などの運動器の衰えは、密かに進行しています。年齢に関わらず、下記の内容に思い当たることがある場合には、生活習慣を見直す、運動習慣をつけるなどの対処をとるようにしましょう。

●運動習慣のない生活をおくっている
●日常生活で身体を動かさない(エレベーターや車を使うなど)
●やせ過ぎ
●肥満

運動器は20代以降、加齢に伴い衰えていきます。さらに身体を動かすことが少ない方はより衰えが加速していきますので、日々の生活の中で動くことや、習慣的に運動することが大切です。
また、無理なダイエットや食欲不振などによる極端なやせは、骨や筋肉を弱くし運動器の低下につながります。その反面、体重増加による肥満は、腰や膝に負担をかけ関節症になりやすくなります。極端なやせや肥満の改善は、ロコモ予防につながります。


ロコモ診断をしてみましょう

日本整形外科学会が2007年に発表した「7つのロコチェック」で簡単に自己チェックしてみましょう。

1.家の中でつまずいたり、滑ったりする
2.階段を上るのに手すりが必要である
3.15分くらい続けて歩くことができない
4.横断歩道を青信号で渡りきれない
5.片脚立ちで靴下がはけなくなったrokomo3
6.2kg程度の買い物(1Lの牛乳パック2本程度)をして持ち帰るのが
  困難である
7.家のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下げなど)が困難である

7項目にのうち、1つでも当てはまれば、ロコモの危険性があります。生活習慣を見直し、運動習慣を身につけ、ロコモになる前に予防対策をして、元気な身体にしていきましょう


ロコモ予防対策

ロコモを予防するには、積極的に体操やウォーキング、スポーツなどの運動や普段の生活の中で身体を動かすようにすることが大切ですが、身体をつくる食事習慣も大切です。
ここでは、ロコモ予防の食事について紹介します。

●ロコモ予防の食事
主食・主菜・副菜のある食事にしましょう
 主食(ご飯、パン、麺など)、主菜(肉、魚、大豆製品など)、
 副菜(野菜、きのこ類、海藻類など)を揃えた食事は、rokomo4
 適正体重を保ち、適正な栄養を摂ることができます。
 欠食せずにこのような食事を3回整え、余分な間食や夜食を
 とらない食習慣を心がけ、やせ過ぎや肥満を防ぎましょう。

毎日カルシウムを摂りましょう
 カルシウムは骨を作るのに重要な成分です。特に女性は、閉経後に急激に骨密度が減り骨折し
 やすくなるため、毎日カルシウムを摂りましょう。カルシウムは野菜や海藻にも多く含まれて
 いますが、カルシウムを多く含む食品の中でも牛乳や乳製品の方が、カルシウムの吸収率が良
 いため、牛乳や乳製品を積極的に摂るようにしましょう。
 また、カルシウムの吸収を促進してくれる成分もあるので、そのような成分が含まれる食品も
 上手に摂りいれることをおすすめします。rokomo5

 (カルシウムを促進する成分と食品)
 ビタミンD    ・・・魚類、きのこ類、卵 など
 マグネシウム ・・・大豆、大豆製品(豆腐など)、
            海藻類(ひじきなど)、 緑葉野菜(ほうれん草など) など
 クエン酸      ・・・酢、梅干、柑橘系の果物(みかんなど) など

毎食たんぱく質を摂りましょう
 たんぱく質は、身体をつくる大切な成分のひとつです。運動器の修復をしたり、補強をしてく
 れるので、ロコモ予防には欠かせない成分です。毎食たんぱく質を摂りましょう。

(たんぱく質を多く含む食品)
  肉、魚、卵、大豆、大豆製品(豆腐など)
 ※ 卵は、コレステロールが多く含まれているので摂りすぎには
   注意しましょう。また、肉や魚は脂身が多いものは、肥満のrokomo6
   原因にもなりますので、摂り過ぎないように気をつけましょう。
 例えば、朝は卵、昼は肉、夜は魚や豆腐など、毎食異なった
 たんぱく質食品を摂るように心がけましょう。

ロコモ予防を意識した食生活を心がけ、骨や筋肉の健康度を高めていきましょう。


ロコモ予防おすすめレシピ

今回は、骨と筋肉を作るのに必要なカルシウムとたんぱく質、またカルシウムの吸収を促進するビタミンD、マグネシウムが含まれた食品が入ったレシピをご紹介します。

●かぶと大豆の味噌ミルクスープ

【材料】 2人分
・かぶ ・・・2個
・大豆(水煮)・・・50g
・ベーコン ・・・2枚rokomo7
・玉ねぎ ・・・1/4個
・にんじん ・・・1/3本
・しめじ ・・・1/2パック
・オリーブオイル ・・・大さじ1/2
・鶏がらスープの素 ・・・小さじ1/2
・味噌 ・・・大さじ1/2
・牛乳 ・・・200ml
・水 ・・・150ml
・黒こしょう ・・・少々

【作り方】
1.野菜は食べやすい大きさに切り、ベーコンは1cm程度の短冊切りにします。
2.鍋にオリーブオイルで軽くベーコンを炒め、1の野菜を入れ炒めた後、
  水と鶏がらスープの素を入れ、やわらかくなるまで煮ます。
3.2に大豆を加えて少し煮たら、味噌を溶きいれます。
4.牛乳を加え、煮立たないように温めたら出来上がりです。

※ かぶの葉も一緒に入れるとカルシウムやマグネシウム量がさらにアップし、彩りも良くなり
  ます。
※ 牛乳が苦手な方は、カルシウム量は低下しますが、豆乳に変えてもおいしくいただけます。

日常の運動と一緒に食事も意識してみましょう。