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栄養コラム

フィンランドの食事

No.129

2014年9月1日

管理栄養士 田原 佳奈


8月に大自然に囲まれたフィンランドへ旅行しました。日本より北に位置し、8月でも朝晩は上着が必要なくらい涼しいところです。日本とほぼ同じ国土ですが、人口は543万人と日本の1/20以下で、人々がとてもゆったり過ごしているように感じました。フィンランドで見た食材や食事をご紹介します。finland6


フィンランドについて

北欧の1つで、国土の69%が森林、10%が水域と緑や湖が多い国です。finland7
国土の1/4は北極圏に位置し、アイスランドに次いで北に位置しています。平均気温は、冬は0℃を下回りとても寒く、夏は21℃と涼しいところです。実際に8月の中旬でも最高気温が23℃くらいまでしか上がらず、北海道のようでした。また夏の日照時間が長いことが特徴で、21時半頃まで明るいので、夜になっていることを忘れるくらいです。

フィンランドの食事

フィンランドといえばサーモンという印象の方も多いのではないでしょうか。魚介類を生でも食べる文化は日本に近いところがあります。特別有名な料理はありませんが、素材を生かした料理が食べられています。 メインの肉料理は牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉やうさぎ肉、珍しいのはトナカイの肉などをグリルやミートボールなどにして食され、また魚料理ではサーモンをソテーしたり、ニシンをフライや酢漬けにした料理があります。finland3

主食は主要農産物であるライ麦や、大麦などの麦を使ったパンが食べられています。パンはサンドイッチとしてサーモンやチーズ、ハムなどと一緒に食べたり、サラダを頼むと一緒についてきたりします。硬めのパンですが、良く噛むと味があります。フィンランドで「黒パン」と呼ばれるライ麦のパンがありますが、とてももっちりとしていて、ディル風味のマヨネーズで和えた料理をのせて頂きましたが、とてもおいしかったです。

また寒冷地なので、じゃがいもが美味しく育つ気候ということもあり、じゃがいもは麦と並ぶ主要農産物になっています。そのため料理の付け合わせには素揚げ、フライドポテト、マッシュポテトなどがほとんどの料理に付いています。どれを食べても甘くて味があり、おいしいじゃがいもでした。finland5

 その他には、コーヒーとお酒もよく好まれているようです。コーヒーはコンビニのようなところにコーヒーマシーンが必ず置かれており、カフェはカハヴィラと呼ばれ、街の中に多くあり、コーヒーの消費量が世界一と言われるほど日常的にコーヒーが飲まれています。お酒は街のいろいろなレストランやバーで飲むことができ、日曜日はお店がほとんどお休みになるので、休日を楽しむ土曜日には昼の早い時間帯から家のベランダやバーなどで飲んでいる姿がみられました。


夏の食材~ベリー~

街の市場は夏の時期、ベリー類が豊富です。ベリーといっても5,6種類以上並んでおり、1リットル当たりで4~7ユーロ(約560~約1000円)で売られています。1リットルは日本のブルーベリーのパック5個分くらいなので、価格は日本の1/2ぐらいとお手軽です。日本に馴染みのあるイチゴやブルーベリー、ラズベリーだけでなく、クラウドベリーやリンゴンベリーなど様々な種類があります。そのまま食べるだけでなく、夏の間に採れたベリーを冷凍したり、ジャムにしたりして保存しながら食べられ、肉料理などのソースにも使われることが多いです。
なかでも、ブルーベリーの一種であるビルベリーはブルーベリーより5倍のアントシアニンを含むと言われ、近年注目されている食材です。アントシアニンはポリフェノールで、赤・青・紫色の色素成分です。抗酸化作用がある他、光を感じる物質を増やす働きがあるため、目に良いと言われています。 finland8


フィンランドの料理

今回食べてきたフィンランドの料理をいくつかご紹介します。

●ザリガニ料理
フィンランドでは7月21日がザリガニの解禁日となっており、解禁
日以降は自宅でザリガニパーティーが行われるほど好まれていまfinland4す。フィンランド産のザリガニは高価なようですが、比較的安価な外国産のものも売られています。日本でよく知られているザリガニとは違い、大きさは小さい伊勢えびぐらいで、味や歯触りが蟹に似ています。ボイルして塩とディルで味付けされただけの料理もあり
ますが私はマヨネーズと和えた料理を食べました。食べる前はどん
な味かと興味津津でしたが、まさに蟹のようにとてもおいしかった
です。

finland1●カーリカーリュレート
ロールキャベツのような料理なのですが、中身は肉だけでなく、プーロリーシというお米で作ったミルク粥が混ざっています。調理法についても日本でよく食べられているような煮込みではなく、オーブンで焼き上げます。また、シロップをかけて焼いたり、食べる際にコケモモソースなどの甘いソースを添え、甘めにいただくのもフィンランド風です。

finland2●カレリアンピーラッカ
ピーラッカは「包む」という意味で、フィンランドのカレリア地方で作られ、ライ麦の平たい生地でミルク粥を包んだ料理です。ミルク粥は柔らかくクリーミーなチーズリゾットのような味で、ライ麦の薄い生地がパリパリと硬く、よく合っていました。 


おすすめレシピ

いつものロールキャベツをフィンランド風にオーブンで焼くと、キャベツの甘味が増して、普段とは一味違った食べ方を楽しめます。

●カーリカーリュレート風

finland9【材料】(2人前)
・キャベツ・・・大6~7枚
・玉ねぎ・・・中1/4個
・バター・・・小さじ1
・炊いたご飯・・・100g
・牛豚合挽肉・・・125g
・卵・・・1個
・塩・・・小さじ1/2
・コショウ・・・少々
・オールスパイス・・・少々
・スープ
a.キャベツの茹で汁・・・1カップ
b.コンソメ・・・小さじ1杯(3g)
c.サワークリーム・・・大さじ3杯(30g)
・バター(焼き上げ用)・・・適量

【下処理】
1.キャベツがつかるぐらいのたっぷりのお湯を沸かして塩をひとつまみ入れ、
  キャベツを4~5分茹でます。ゆで汁はスープに使うのでとっておきます。
2.包む用のキャベツ(4~6枚)の芯を取りのぞき、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
  芯と残りの葉はみじん切りにして水分を絞り、冷ましておきます。
3.玉ねぎはみじん切りにしてバターで炒め、ボールなどに移して冷まします。
4.1.のキャベツのゆで汁200ccにコンソメとサワークリームを入れて混ぜておきます。
5.オーブンは250℃に予熱しておきます。

【作り方】
1.下処理2.3.でみじん切りしたキャベツと炒めた玉ねぎ、ご飯、挽肉、卵、塩、
  オールスパイス、コショウを入れ、捏ねて俵型に成型します。
2.包む用キャベツに1.を巻きます。
3.耐熱皿に2.を並べ、それぞれの上に焼きあげ用バターを適宜のせ、
  下処理4.のスープを流し入れます。
4.250℃で設定したオーブンで10分焼き、150℃に下げて90分焼きます。
  表面が焦げてきたら アルミホイルをかぶせます。
5.お皿に盛りつけてできあがりです。

※本場ではロールキャベツにシロップをかけて焼き上げるので、耐熱皿に並べた後に
 メープルシロップやはちみつをかけても甘みが加わっておいしいです。
 最後に甘酸っぱいアンズジャムやミックスベリーのジャムなどと一緒に食べれば本場に近い
 料理になります。