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栄養コラム

きゅうり

No.211

2021年7月1日

管理栄養士 若林美和

これからの夏に向けて暑さ対策のひとつとして、ご自宅などで緑のカーテンで植物や野菜の栽培を行う方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はその緑のカーテンで作ることができ、旬の野菜でもあるきゅうりをご紹介していきます。

            

原産地と歴史

きゅうりの原産地は、インド北部からネパールにかけてのヒマラヤ山脈といわれています。日本に伝わったのは6世紀ごろで、栽培が盛んになったのは江戸時代後期のことです。完熟すると30㎝ほどの大きさになって黄色くなることから、当時は「黄瓜」と呼ばれており、それが現在の「きゅうり」の語源となっています。きゅうりの表面にはボツボツとしたいぼが付いていますが、以前は低温に強く、身が固くて漬物に適しているいぼの黒いものが主流でした。しかし、時代の流れとともに食生活が変化し、野菜を生で食べることが多くなったので、現在は生のまま食べても美味しいという特徴を持つ白いいぼのものが主流になり、完熟前で身が柔らかい皮が緑色の状態で収穫するようになりました。

きゅうりの特徴

夏にぴったり!

皆さん、夏にきゅうりといったらお祭りの屋台などでよく見かける一本漬けが思い浮かびませんか。冷たくて塩気があってパリッとした食感で暑い時期に食べたくなりますよね。
このきゅうりの一本漬けが夏によくみられる理由は、冷たさや味だけではないのです。夏にぴったりな理由を3つご紹介します。

①色鮮やかな見た目

きゅうりは1年を通して食べられますが、旬は6~8月の夏野菜です。
夏野菜は太陽の光をたくさん浴びて育つので、みずみずしくフレッシュな味わいで、見た目も色鮮やかになります。
美味しさを判断する要素として、五感(味覚・視覚・嗅覚・聴覚・触覚)があります。なかでも約80%を視覚が占めているとされているため、色鮮やかなきゅうりをプラスすることで美味しそうに見え、夏バテで食欲が落ちている時の食欲増進にも効果的です。

ここで、きゅうりの鮮やかな色をきれいに保つ下処理の方法として、「板ずり」をご紹介します。
【板ずり】
板ずりとは、きゅうりに塩をまぶしてまな板の上でコロコロと転がすことです。板ずりが終わったら塩は洗い流してください。
このひと手間で色をきれいに保つことができ、青臭さをとることもできます。

②水分たっぷり

発汗の多い夏は、飲料だけでなく、食べ物からとる水分もとても重要です。
きゅうりに含まれる水分量は約95%です。平均的なきゅうり1本の重さは100gなので、1本食べるとコップ1/2杯の水を飲むのと同じ量をとることができ、食事からのよい水分補給源になります。
また、例えば牛乳と同じ重量をとった場合と比較しても、牛乳の水分量は約88%ということから、きゅうりの方が水分を多くとることができます。

③暑さ・むくみ対策

きゅうりに含まれる特長的な栄養素としてカリウムがあります。カリウムは、「暑さや冷たい飲み物の飲みすぎでむくみやすい」という夏の悩みを解決してくれる栄養素です。

【カリウムについて】
カリウムには、尿の排泄を増やし、体内の余分な水分を外に出す働きがあります。むくみは、体内に余分な水分が溜まっている状態のため、水分が外に出ることでむくみ解消に繋がります。また、尿と一緒に体内の熱も外に排出されるので、体を冷やし、暑さ対策にも繋がります。

 他にもカリウムを多く含む野菜はありますが、きゅうりは和え物などで食べると1人前で約1本分とれるのに対し、レタスのような葉野菜の1人前はきゅうりの半分程度の量しかとれず、結果的にきゅうりの方がカリウムをより多く摂取することができます。また、カリウムはその性質上、茹でたり煮たりすると水に溶けだしてしまいますが、きゅうりは生で食べることが多いため、カリウムの損失が少ないのもよい点です。

万能野菜!

きゅうりは、他の野菜と比較しても、特段甘味や酸味などが強いわけではありません。その癖のない味だからこそ、何にでも合う万能野菜で、飽きることなく味わうことができます。
・生のまま食べる(サラダ、和え物、酢の物、ナムルなど)
・漬物にする(浅漬け、ぬか漬けなど)
・火を通す(炒め物、汁物など)
このように様々な食材や調味料と相性がよく、食感がしっかりとしているので火を通してもシャキシャキ感が残り、美味しく食べられます。

 

おすすめレシピ

きゅうりは、日本だけでなく世界各国でも様々な料理として食べられています。今回は、トルコやギリシャなどで親しまれているきゅうりの冷製スープをご紹介します。

このスープは、鮮やかな見た目で冷たくしていただく夏向けの料理ですが、それに加えてたんぱく質が補え、栄養成分も夏にぴったりなのです。というのも、暑さで食欲が落ち、のど越しの良い麺類だけで済ませてしまうとたんぱく質が不足し、疲れやすくなったり、体がだるくなるなど、夏バテを進行させる可能性があります。このスープは、牛乳とヨーグルトが使われているので、味噌汁の約2倍ほど多くのたんぱく質を摂ることができ、夏バテ予防になります。

【材料】(2人分)
・きゅうり          2本
・コンソメ(顆粒)      小さじ1                          
・牛乳            100cc
・プレーンヨーグルト     大さじ2

【作り方】
1.きゅうりはへたをとり、すりおろしてボウルなどにいれる。
 すりおろし具合は細かくするとさらさらのスープに、粗めにするとつぶつぶとした食感を
 楽しめるスープになります。お好みで調節してください。
2.別の容器に牛乳、ヨーグルト、コンソメを合わせ、コンソメが溶けるまでよく混ぜる。
3.1と2を混ぜ合わせる。
4.器に盛り付けたら、完成です。

●フードプロセッサーやミキサーをお持ちの方は、材料をすべて入れて回すとすりおろすなどの手間が省け、簡単に作ることができます。

【アレンジ】
トッピングとして、写真のようにプレーンヨーグルト(分量外)をかけると見た目がさわやかになります。また、トマトを細かく切ってのせるのもおすすめです。トマトは同じ夏野菜で色鮮やかなため、食欲増進に繋がります。
他にも、レモン汁を大さじ1加えるとよりさっぱりとした味に、すりおろしにんにくを小さじ1/2加えるとコクが出て大人向けの味になり、変化を楽しむことができます。ぜひ試してみてください。